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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻8号

1984年08月発行

明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 生殖免疫

免疫性不妊症

著者: 鎌田正晴1 苛原稔1 長谷部宏1 山野修司1 木下恒夫1 野田洋一2 森崇英2

所属機関: 1徳島大学医学部産科婦人科学教室 2京都大学医学部婦人科学産科学教室

ページ範囲:P.629 - P.634

文献概要

 妊娠は両性配偶子の合一すなわち受精から始まり着床に至る一連の過程を経て成立する。個体の免疫系がこれらの過程を阻害することがあれば不妊となり,ここに免疫性不妊症が成立する。不妊に関連する免疫エフェクターとして,性ステロイド産生細胞に対する抗体をはじめ,抗卵細胞質抗体,抗透明帯抗体などの自己抗体および自己あるいは同種抗体としての抗精子抗体が挙げられる。抗体の他,種々の細胞性免疫の関与も考えられるが,現在まで系統的な研究はほとんどなされていない。
 上記の免疫因子を原因とするヒトの不妊症を証明するためには以下の事実を明らかにする必要がある。すなわち,1)上記抗体が不妊症患者血中あるいは局所に特異的に証明されること,および,2)その抗体の妊娠成立阻止に関与する生物作用をin vivoあるいはin vitroで直接的に証明することである。本稿では,抗精子抗体および抗透明帯自己抗体につき,以上の点を中心として述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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