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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻8号

1984年08月発行

文献概要

明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 生殖免疫 Topics

妊娠中毒症の腎病変

著者: 伊藤昌春1 前山昌男1

所属機関: 1熊本大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.657 - P.660

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I.妊娠中毒症と腎生検
 妊娠中毒症のtriasのうち児の予後と最も相関するものは蛋白尿と高血圧であり,この症状の発症時期が早いほど,しかも重篤なほど新生児罹病率が上昇する1)。特に,混合型は純粋型にくらべ発症が早く後遺症を残しやすい。McCartney2)は妊娠高血圧症の診断をうけた7893例のうち52%が混合型で,経産婦に多いと述べ,本邦でも純粋型とみられた症例のうち40%が基盤に腎疾患を有していた3)。Zuspan4)は腎疾患等の基礎疾患の有無を知るには産褥期の腎生検が有効であると述べている。一方,混合型妊娠中毒症に対しては妊娠による影響が消失する産褥3カ月以降に行うのが望ましい3)。加藤5)は妊娠前に腎生検をうけた群では,産褥期の腎生検群にくらべ正常分娩に至った割合が有意に高く,腎疾患をもつ婦人に対して腎生検所見を加味した新しい診断基準を設けた(表1,2)。特に純粋型にくらべ混合型の発症が増加しつつある6)今日では有用である。Fisherら7)は妊娠中毒症褥婦に対する長期のfollow-upよりnephroscleroticな腎病変をもつ群——いわゆる混合型——では後年,高血圧発症が多いと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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