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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科38巻9号

1984年09月発行

文献概要

明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 性機能と中枢--その生理と異常

プロラクチンと性機能—プロラクチンとLHの産生分泌の関連について

著者: 麻生武志1

所属機関: 1福井医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.707 - P.714

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 女性の性機能は卵巣とこれを調節する視床下部下垂体によって形成される機能系が中心的な役割をもち,小児期から思春期にかけての発育,排卵性月経周期の確立と維持,そして妊娠の成立などには本機能系の正常な作動が不可欠である。就中正常な黄体機能を伴って規則的な周期で発来する排卵は生殖生理上重要な過程であり,これに関する事象の解明に多大な努力が積み重ねられている。その結果無排卵症,黄体機能不全の病態の一部が明らかにされ,新しい診断治療法の確立として実地臨床に還元されており,特にプロラクチン(PRL)と性機能との関連について得られた近年の知見は無排卵症や月経異常の診療に大きな転換をもたらしたといえよう。このことは今日血中PRL値の測定がこれら疾患の診療の当初に行うべき必須検査の1つとしてルティーン化したことにより適切な治療法を早期に選択して高い治療効果をあげうるようになったことからも明らかである。しかしヒト性機能に対するPRLの生理的な役割や高PRL血症における性機能障害の本態については多くの不明な点が残されている。本稿では本特集のテーマである「性機能と中枢」に則して性機能とPRLを考えるに当たって,卵巣機能をコントロールする中枢性の主要因子の1つとして明らかにされているLHに焦点を当て,これとPRLの産生分泌との関連性を中心に最近の知見をもとに概説を試みたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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