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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻2号

1985年02月発行

ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 流産

切迫流産の内分泌学的臨床病態—解析とその管理・予後推定の指針

著者: 相良祐輔1

所属機関: 1高知医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.99 - P.105

文献概要

 妊娠維持機構に関与する基本的な内分泌環境については,着床期の下垂体—卵巣系から絨毛—卵巣系へと転換し,さらに妊娠の進行に対応して絨毛—絨毛系へと移行してゆくことは良く知られている。この基本的な妊娠初期の内分泌学的立場からすれば,前述の内分泌学的系の転換期に移行が順調におこなわれ難い時,流産が発症すると考えて良い。したがって流産に関する内分泌学的検討では,妊娠の進行に伴って変動する絨毛性ホルモンや卵巣ステロイドが母体血中・尿中で測定され,その報告も多い。こうした報告ではいずれも,正常妊娠に比較して切迫流産,進行流産に異常値を示すとするが,今日なおこれらの報告に基づいた,より実際的な切迫流産管理指針の設定や日常診療に利用される診断規準が確立されているとはいい難い。周知の如く切迫流産には,多種多様の病因が,しかも重複して存在する症例が圧倒的に多く,測定されたホルモンの異常値は原因ではなくむしろ結果を意味する場合が多いと考えられるからであろう。また一つには,測定法の特殊性や測定成績のフィード・バックが日常臨床に間に合わぬことがしばしばであることも大きな理由であろう。筆者らは日々の臨床に情報がフィード・バックされることを目的に多項目同時微量定量法を開発し短時間で測定成績が入手できるが,これによる各種ホルモンの値は個々の切迫流産の病態を表現すると考えている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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