icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻2号

1985年02月発行

薬の臨床

早産管理における塩酸リトドリン点滴静注法の有用性について

著者: 藤本征一郎1 岡田雄一1 一戸喜兵衛1

所属機関: 1北海道大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.129 - P.135

文献概要

 切迫早産患者22例(前期破水1例,高位破水1例を含む)を対象に塩酸リトドリンの点滴静注を持続的に比較的長期間にわたり施行し,その有用性と安全性について検討した。その結果以下の成績を得ることができた。
 ① 妊娠期間の延長効果は平均38.5日であり,22例中20症例(90.9%)に14日間以上の延長効果がみられた。
 ② 分娩時平均妊娠週数は38.5週であり,正期産は19例(86.4%)であった。
 ③ 低出生体重児(2500g未満)は1例のみであった。また,アプガースコア(1分)はすべて8点以上であり,新生児に本剤によると思われる副作用は認められなかった。
 ④ 母体・胎児の循環系への影響は許容範囲であり,自覚的副作用を認めたものは2例(9.1%)であった。点滴直後の空腹時血糖の一過性の軽度の上昇が母体において観察された。
 ⑤ 分娩時,産褥時の母体所見には本剤によると思われる副作用は観察されなかった。
 ⑥ 本剤のかなり軽減以上の子宮収縮抑制効果は,20例(90.9%)に認められ,有用以上の有用性は19例(86.4%)に認められた。
 ⑦ 以上の結論より,本剤の切迫早産治療剤としての有用性は優れたものがあり,また安全性についても適切な使用法を遵守することにより問題がないものと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら