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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻3号

1985年03月発行

ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 更年期障害

更年期と心身症

著者: 堀口文1

所属機関: 1獨協医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.167 - P.171

文献概要

 更年期は女性のライフサイクルの中で最も困難な課題の一つである。更年期に示される多くの症状は更年期障害,更年期障害様症状,更年期症候群,更年期症状および閉経期症候群などと呼ばれ,その原因の大部分は自律神経失調である。その他の原因としてestrogen欠乏によるものや精神異常などがある。これらのうち自律神経失調や軽度の精神異常は心身症と考えられるものが多く,その診断や治療にあたって心身医学的配慮が必要である。現在の一般産婦人科や内科の診療において,これら更年期婦人の訴えに対しホルモン剤,自律神経剤,マイナートランキライザー,漢方および抗うつ剤などが投与され効果をあげているが,時には頑固な訴えに対しこれら薬剤が無効で失望した患者はあちこち転医を試み医師もまた治療への意欲を失うことがある。特に戦後の社会的変動は複雑な更年期婦人の心理的背景に影響を与え,離婚の増加,アルコール依存症および最近では子宮全摘症候群など社会問題にまで発展してきている。更年期症状を心身医学的に解釈すると,更年期を理解し受容できる人は症状を訴えず,他方,誤解や拒否のあるときは葛藤および不安などのため混乱がおき,自律神経症状がなかなか消失しない。更年期症状の心身医学的見解はまだ不明な点が多いが,日常の診療において,私共がもう少しこれら不定愁訴を訴える人を注意深く,あるいは心を寄せて接すると,そこには驚くべきほどの共通点がみられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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