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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

グラフ 胎児の機能診断

分娩時における胎児心拍数・陣痛のトレンドグラム

著者: 前田一雄1 入江隆1

所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.206 - P.208

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 トレンドグラム(trend-gram)というのは,その名のように,ある生体現象が長時間のあいだに示す傾向を記録した曲線である。特定の現象に対して用いられる名称ではない。長時間にわたる記録を短い紙幅におさめると,波形が圧縮されて,短時間記録ではわからないような傾向が明らかになる。胎児心拍数や陣痛でも,1秒2.5cmの記録紙速度では判断がむずかしく,1分3cmの速度にしてはじめて診断の対象にできるようになる。つまり,胎児心拍数陣痛図も,一種のトレンドグラムといえよう。しかし胎児心拍数陣痛図も,数時間よりも長く記録すると一目で全部の傾向をつかむことがむずかしくなり,判断が困難になる。筆者の自動診断では5分ごとに診断解析結果を印字するので,データはだいぶん圧縮されるが,それでも長時間では記録紙が長くなって見にくくなる。そこで新しいトレンドグラムが必要になるのである。
 分娩時の胎児心拍数と陣痛のトレンドグラムには2つの方式がある。胎児心拍数について考えれば,胎児心拍数そのものを一定時間間隔ごとに計測して,つまりサンプリングを行って,これをそのままトレンドグラムにするもので,陣痛曲線も同様にサンプリングして,そのまま長時間にわたって表示する。もちろんこの方式も価値があるが,波形が強く圧縮されるために,一過性徐脈の診断が困難で,early,late,variableの区別は不可能になる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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