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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 Fetal Surveillance--その臨床的対応

胎児発育障害

著者: 荒木勤1 鄭光民1

所属機関: 1日本医科大学第1産婦人科教室

ページ範囲:P.235 - P.241

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 IUGR発生の原因を追求してみると,まず大きく分けて外因因子によるものと,内因因子によるものがある。外因としては母体からの物質供給の制限や胎盤の物質通過機能の障害によるものである。内因としては胎児自身の発育に関与する成長因子の障害が主なるものである。しかし,IUGRの病因についていろいろ言われてはいるものの,IUGR胎児は子宮内生活で飢餓症候の状態(starvation syndrome)にあることには相違ない。このことは主に胎児の生活に必要なエネルギー源の不足を意味する。胎児はglucose dependent parasiteと言われているくらい,胎児の成熟および発育にとってglucoseの意義は大きい。すなわち,glucoseの胎児各臓器組織への取り込みとその利用を中心とした糖代謝の正常な運営,それに協同的に働く,副腎皮質ホルモン,insulinなどの発育促進物質が胎児の正常な発育に対する先決条件の主なるものである。これらのことを念頭においてIUGRの観察と監視をおこなってゆくことが大切である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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