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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻4号

1985年04月発行

文献概要

講座 実地医家のためのホルモン講座

エストロゲン—非妊時

著者: 寺川直樹1 脇本博1 堤博久1 林田美代子1 清水郁也1 池上博雅1 青野敏博1

所属機関: 1大阪大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.266 - P.270

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 非妊時の卵胞ホルモン,エストロゲンの主たる産生臓器は卵巣である。卵巣より分泌されたエストロゲンは,その作用を発揮したのち肝で代謝され,グルクロン酸あるいは硫酸抱合型となって尿中に排泄される。エストロゲンの作用発現機序は長い間不明であったが,1962年,Jensen&Jacobson1)によっておこなわれた研究成果によって明らかとなった。すなわち,放射性estradiolをラットに注射すると子宮などの標的臓器にのみエストロゲンの選択的取り込みが認められ,細胞内にエストロゲンと特異的に結合する受容体,レセプターの存在が発見された。その後の研究により,生体内で分泌されるエストロゲンあるいは外来性に投与されたエストロゲンは子宮などの標的組織の細胞内に存在する分子量7〜80,000のエストロゲンレセプターと結合することにより,エストロゲンの作用を発揮することが現在では定説となっている。
 さて,性周期を有する婦人の卵巣は他のステロイドホルモン分泌臓器である睾丸や副腎皮質と異なり,下垂体性ゴナドトロピン刺激下に卵胞発育,排卵,黄体形成という周期性を有し,それに伴ってエストロゲンの分泌パターンも異なること,かつ組織学的にも間質,莢膜,顆粒膜細胞から構成される卵巣でのエストロゲン生合成過程は複雑である。本稿では卵巣におけるエストロゲン生合成機構を中心に概説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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