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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻6号

1985年06月発行

特集 図でみる病態産婦人科学--適正治療のために

生殖・内分泌

排卵障害

著者: 福島峰子1

所属機関: 1秋田大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.379 - P.383

文献概要

I.排卵機序と排卵の意義
 内分泌学の進歩と共に排卵の起こる機序もかなり解明され,間脳とくに視床下部からLH-RHの放出があると下垂体は刺激を受けFSHまたLHを分泌する。それは卵巣で卵胞の成熟とステロイド生成・分泌を行い,中枢への逆調節機序によりLHのsurgeがあれば成熟卵胞とくに主卵胞からの排卵が起こる。同時に発育していた数個の卵胞は閉鎖過程をたどるが,排卵した卵胞は黄体化し,エストロゲン,プロゲステロン生成,分泌を行う。このように中枢からの刺激,末梢からの逆調節で内分泌学的に閉鎖環を形成して調和を保持している(図1)。
 しかしこのような間脳—下垂体—卵巣系ではagingの問題が重要で,思春期または更年期前期では月経を認めても排卵を伴わない状態は生理的に存在する。女性では原始卵胞の数は胎児期に最も多く,加齢と共に減少の一途をたどることは,Blockの報告1)からも明らかである。成熟期では1回の排卵毎に5〜6個同時に発育し,1個のみ排卵して他は閉鎖卵胞となるが排卵した卵とて精子との受精現象が起こらない限り消失していく。したがって排卵の最大の意義は妊娠が成立することである。このことは無排卵で排卵誘発法を考える対象は原則として排卵により妊娠する可能性のあるもの,そしてそれを希望するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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