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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻6号

1985年06月発行

特集 図でみる病態産婦人科学--適正治療のために

産科

前期破水

著者: 荻田幸雄1 今中基晴1

所属機関: 1大阪市立母子センター

ページ範囲:P.444 - P.450

文献概要

I.疾患の概念
 規則正しい陣痛が発来する以前に卵膜の破綻をきたし羊水が流出する場合を一般的に前期破水(prematurerupture of the membranes; PROM)と定義する。PROMは発症の時期を問わなければ全分娩の約10%に起こり,児がすでに成熟している妊娠37週以後では臨床的にほとんど問題はないが,それ以前で児が未成熟な時期に発症するPROM (preterm PROM)は低出生体重児を娩出するに至る早産の最大の原因として臨床的に重要で,その頻度は約33〜43%に達すると報告されている1,2)
 PROMを放置すれば早晩,陣痛が発来し,諸臓器機能の未熟な児を娩出する。肺機能の未熟な児は呼吸促迫症候群(respiratory distress syndrome; RDS),あるいは脳室内出血(intraventricular hemorrhage; IVH)をきたす一方,娩出までの過程で破膜部位からの上行感染によって羊膜炎,あるいは胎内感染を招来して,母体においては産褥性内膜炎,児においては肺炎,髄膜炎,あるいは敗血症など重篤な感染症に罹患する危険性がある。特に,早産,PROMの原因として子宮内感染の意義が明らかにされている今日,顕性,不顕性にかかわらずPROMと感染は臨床上重要視されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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