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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻8号

1985年08月発行

ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 Sexually Transmitted Diseases (STD)

淋疾

著者: 松田静治12

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科教室 2江東病院

ページ範囲:P.633 - P.638

文献概要

 淋疾は淋菌(N.gonorrhoeae)の感染による感染症であり,最も多いSTDの一つである。現在淋疾は化学療法の普遍化にもかかわらず世界中で多発し続けており,WHOの1979年の調査でも感染症多発ランキングで淋疾が第1位を占める国が151カ国中15カ国にみられており,開発国,発展途中国ともに増加傾向が著明であることに,人類の歴史とともに長いこの疾病の特色がある。ことに若年層の増加率が高いことが注目され,米国では若年層で女子の頻度が男子を上廻っているという。
 わが国では淋疾は届け出疾患とされており,届け出数からみると年々増加傾向を示しており,性風俗の多様化や淋菌保有者を無治療のまま放置している現況をみると,淋疾の実数はもっと多いものと思われる。さらに薬剤耐性菌の出現も,淋疾の増加に関係していることは間違いない。ことに淋疾治療の特効薬であるペニシリンに対し耐性を示す淋菌の出現とその増加に関しては公衆衛生上,疫学上大きな問題となってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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