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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻9号

1985年09月発行

ヒューマンバイオロジー--臨床への展開 無排卵症

排卵障害の原因と病態

著者: 伊吹令人1 鹿沼達哉1

所属機関: 1群馬大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.695 - P.701

文献概要

 排卵とは雌生動物の卵巣に存在する原始卵胞が,発育卵胞,胞状卵胞となり,さらに成熟卵胞へと発達し,やがてこれが破裂することにより顆粒膜細胞に囲まれたままの卵子とともに,その内容を腹腔内に放出する現象であり生殖現象の最も重要な構成要素である。卵胞の発育は卵巣の重要な機能の一つであることはいうまでもないが,それは様々な調節機構の相互作用により成り立っている。調節機構とは卵巣自体の有する要素,即ちホルモンレセプターや卵胞液中の種々の活性物質も含まれるが,排卵という現象は美しく統合された女性の性周期を形成するすべての過程が調和した時に初めて成立するものである。視床下部—下垂体—卵巣系はもとより,視床下部—下垂体—甲状腺系,視床下部—下垂体—副腎系などの内分泌系統が順調に正しく作動していることが排卵現象にとって必須であるが,より高位中枢の関与,他の全身疾患とも微妙に関連しており生殖可能年齢にある女性にとって排卵があるということは,即ち健康であるといい換えても過言ではないであろう。
 正常な排卵性周期では月経中Estrogen (E)のnegativefeedbackがとれるとFSH分泌が増加し,その刺激で卵胞の発育とsteroidgenesisが起こる。卵胞の発育により,estradiol (E2)生成は次第に増加し,卵胞のFSHに対する感受性を増すと同時にFSHと共同で顆粒膜細胞のLH receptor出現に寄与する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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