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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科39巻9号

1985年09月発行

症例

子宮内膜症組織からの由来が疑われる腸腰筋内腺癌の1例

著者: 岡村隆1 竹内亨1 西井修1 柳沼忞1 小林拓郎1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院産婦人科

ページ範囲:P.751 - P.754

文献概要

 子宮内膜症組織がリンパ行性に転移し,本来腺組織の存在しない腸腰筋内に腺癌を発症させたと思われる症例である。特に本症例は,長い子宮内膜症の経過中,手術材料におけるリンパ節中の腺組織の存在および67Ga scintigraphyによる強度の集積像の存在を認め,悪性腫瘍を疑ったにもかかわらず,子宮内膜症の診断によりDanazol療法を行った点が反省させられる。
 子宮内膜症の悪性変化を確定診断することは困難であるが,本症例のごとく,リンパ節中の腺組織の存在は強く悪性腫瘍を疑うべきであり,その早期診断には,67Ga scintigraphyや直接視診が必要かつ有用であると思われた。また子宮内膜症の治療として現在Danazol療法が広く用いられるようになったが,かかる治療は長期間を要するので,治療中,臨床症状が軽快しない,あるいは増悪する場合にも直接視診や67Ga scintigraphyが必要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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