文献詳細
原著
文献概要
緒言 私は臨床婦人科第2卷4號に於て,子宮頸部癌の手術療法成績を報告し,その際,骨盤傍組織化膿の防止策として,尾骨側部ドレナージの應用を推薦して置いた,當時,私の經驗例はまだ少く,その成績も19例中3例(15.8%)の化膿を經驗しており,私自身の感想としても,その效果を斷言するまでには到つていなかつた.然しこのドレナージは骨盤腔化膿の防止策としては理論的に正しいことであるから,今後も繼續して觀察する考であると述べて置いた.
其後大阪の藤森教授からは,骨盤腔化膿の豫防としてペニシリンが有效だから使つて見るようにとの手紙を寄せられた.然し私け,ペニシリンが有效たことに對して異議はないが,尾骨側部ドレナージを推薦した責任上,その效果如何を報告する義務を感じていたので,當分の間尾骨側部ドレナージだけの觀察例を集めたいと思つていたから,藤森教授に對してはその旨を答へて置き,後日ペニシリンだけの效果と,尾骨側部ドレナージだけの效果とを比較して觀て,夫々の效果を明かにしたならば,子宮頸癌手術的療法の進歩に役立つであろうと,樂しみにして待つていた.
其後大阪の藤森教授からは,骨盤腔化膿の豫防としてペニシリンが有效だから使つて見るようにとの手紙を寄せられた.然し私け,ペニシリンが有效たことに對して異議はないが,尾骨側部ドレナージを推薦した責任上,その效果如何を報告する義務を感じていたので,當分の間尾骨側部ドレナージだけの觀察例を集めたいと思つていたから,藤森教授に對してはその旨を答へて置き,後日ペニシリンだけの效果と,尾骨側部ドレナージだけの效果とを比較して觀て,夫々の效果を明かにしたならば,子宮頸癌手術的療法の進歩に役立つであろうと,樂しみにして待つていた.
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