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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科4巻11号

1950年11月発行

文献概要

診療室

Rooming-In Problem母兒同室問題に就て

著者: 長谷川敏雄1

所属機関: 1東京大學

ページ範囲:P.453 - P.455

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 アメリカの産科病院では一般に新生兒を母親から隔離して共同育兒室central murseryに收容し授乳時以外には一緒にしない方針であり,而も其の隔離が極めて嚴重であることは以前から聞いていたが,今度一寸あちらへ行つて見てそれが全く事實である許りでなく,豫て聞いていたよりも遙かに嚴重で,娩出後臍帶切斷,身體の清拭,Crede氏點眼等法の如く處置され次で親子の對面が濟むと直ぐに共同育兒室へ送られてしまい,其後は所定の授乳時以外は育兒室内に多數の新生兒と共に隔離され,掛りの醫師及び看護婦以外は家族や一般見舞人は勿論父親でさえ室内に入ることが許されず,備付の消毒衣,帽子,マスク等をさえ着ければ分娩室へでも自由に入れて貰える筆者等のような見學ゐ醫師でさえ,共同育兒室へ入ることだけは許されぬと云う状態である。
 何故そのように母兒を同室せしめぬかと云うことに就ては案内の醫師や看護婦に聞いて見てもはつきりした理由を云つて呉れる者は少く,中には「何故か知らぬが昔からの習慣だから」と簡單に片づけてしまつた者もあつて,其の隔離の徹底した嚴重さから恐らく新生兒の感染豫防が其の一つであろうと思われる以外確かな理由をつかむことが出來なかつたのであるが,孰れにしてもアメリカでは昔から分娩後から退院迄母兒を隔離して同室させない習慣になつていることだけは確かなようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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