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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科4巻3号

1950年03月発行

雑誌目次

原著

子宮癌根治手術後に發生するリンパ潴溜症と其の臨床意義—リンパ漏洩症並にPsoas-absccss型旁結合織炎

著者: 小林隆 ,   古谷博 ,   鹽見勉三 ,   神谷登

ページ範囲:P.91 - P.104

〔Ⅰ〕緒言
 從來子宮癌の根治手術に於ては子宮旁結合織就中基靱帶の徹底的切除が主眼とされて來たが,之のみでは充分でなく更に所屬リンパ腺をも腫脹の有無に拘らず系統的且つ徹底的に廓清することが必要である.若し基靱帶剔除の徹底のみが目的であるならば腟式にも之を行い得るわけで,腹式との間に何の差異優劣も無いことになる.故に腹式手術の優秀さは寧ろ上記の如き廓清にあるとも云い得ないことはない.外國の現在及び日本の將來は兎に角として,少くとも今迄の日本のレ線治療成績は斯る廓清を無用と化す迄に至つていないことは周知の如くである(此の點に關するより詳細な論述は既に・産と婦・誌15卷10號11號357〜360,377〜380,に發表したから參照されたい.).
 根治手術の斯る特徴から當然考えられることは,骨盤内の子宮旁結合織の廣汎な剥離と切斷,並に豐富なリンパ系統の剔除等により生理的リンパ流路の甚しい破壞と開放とが餘儀なくされることである.之に加えて大小動靜脈幹の結紮,切斷による正常血行の遮斷,欝血,迂廻等により一層之が助長されるものと考えられる.

横位

著者: 土倉照男

ページ範囲:P.105 - P.107

〔緒言〕
 横位分娩は年と共に漸減しつゝありと考えられている.産科學の發達醫學的知識の普及により豫防醫學が確立されれば遷延横位の分娩は確かに減少するであろう.然し一面横位の存在と其成立機轉とに關して我々の認識を全く新にしなければならない點があると思う.
 此處に於て以下の如き統計並に症例を檢討して此點を明にしようと思う.

Phenolsulfonphthaleinによる卵管通檢査法(PSP test)に就て

著者: 小國孝德

ページ範囲:P.108 - P.110

 緒言 不妊症に關する研究は今日迄既に凡ゆる角度から行われ,特に戰後主としてアメリカの學者に依て發表された排卵機能の檢査法,不妊婦人と精液に關する關係或は亦ホルモン劑の實驗的臨床的檢討等に於て續々新知見が加えられつつある現況であるが,而も不妊原因の最大を占むるものは依然として子宮附屬器の炎性症患に基づく卵管閉鎖であるに拘らず,獨り此の方面の診斷治療のみは遺憾乍ら未だに十年一日の感なきを得ない.
 元來不妊婦人に對する治療は特に原因療法を要する事は申す迄もなく之が診療に當つて先ず卵管疏通性の有無を檢査する事は絶對不可欲の一要件である.卵管の疏通性檢査法としては從來卵管通氣法,通水法及び造影法の法が行われ,何れも夫々一利一失を有している.吾々は主に通氣法を使用し,必要に應じて通水法或は造影法を併用してきたが,更に操作簡單にして確實度高く,判定容易にして危險なく而も餘り經費を要しないという樣な疏通性檢査法の出現を期待しつつあつた次第である.

綜説

子宮癌レントゲン深部照射に依るアミノ酸代謝

著者: 根本孝

ページ範囲:P.111 - P.112

 子宮癌レントグン深部照射に依るアミノ酸代謝に關する報告は絶無と言つてよく唯アミノ酸窒素消長に就ての報告を見るのみで,以下述べる事は主として窒素代謝異常に關するものである.
 文献を通覽するに,初期に於ける本研究の目的は放射線療法の患者に及ぼす全身的檢索にあつたので當時は主として尿中窒素域分の研究より全身新陳代謝の状況を窺わんとする者が多く,次で血液の研究より臟器組織乃至腫瘍の窒素代謝に及ぼす影響に就ての研究に進み,更に放射線障碍作用の根本理論を明かにしようとして蛋白體自身に及ぼす影響に就ての研究を見るに至り,尚近年低蛋白血症の問題が再檢討され,この方面の研究が注目を引くに至つている.

子宮癌患者のアミノ酸代謝

著者: 辻井信孝

ページ範囲:P.113 - P.114

 惡性腫瘍組織の新陳代謝については從來多數の研究があるが,子宮癌患者のアミノ酸代謝に至つては絶無と言つてもよい.

症例研究

卵管間質部妊娠

著者: 澤崎千秋 ,   輿石田鶴穗

ページ範囲:P.115 - P.122

 最近その2例を經驗し,昭和6年以來の症例が4例となつたので,それを報告して綜説を試みる。

重複子宮の妊娠分娩經過觀察例

著者: 今野高信

ページ範囲:P.123 - P.125

緒言
 重複子宮の妊娠,分娩を如何に取扱うべきかは極めて興味ある問題で,1859年Kussmaulは「重複子宮の妊娠,分娩は正常子宮の場合とさして變らない」という意見を出しているが,爾來この問題に關し,多くの報告例があるけれども,その治療方針については一定する處がない。余は最近重複複子宮を有する婦人で,母子共に異常なく滿期分娩を完了しだ4例を經驗したので,當教室20年間の統計的觀察をも加えて,こゝに其大要を報告する。

豫報・速報

卵膜剥離による人工妊娠中絶法

著者: 淸水直太郞

ページ範囲:P.126 - P.127

 人口問題が論議される世潮から避妊法並に人工妊娠中絶法が吾學會でも特に注目を牽き,座談會の話題にされる等專門雜誌を賑はして居る.人工妊娠中絶法に就ては殊にアブレル氏法が操作が簡單であり,且つ從來諸妊娠期中比較的困難を感じた妊娠中間期の中絶に特に適當する利があるが,他方母體を失ひ角を矯めて牛を殺すの危險があることから賛否交々で甲論乙駁の状態である.吾教室では下記の如き中絶法を試み危險なく効果を擧げて居るのでその概略を述べることにする.なほ詳細は後日教室員から發表する豫定である.
 第1例は昭和24年6月3日,35歳6箇月,2回經産婦(第2回は妊娠第7ヵ月で人工妊娠中絶)の妊娠第5ヵ月である.子宮腟部は圓柱状,潤軟でリビド着色著しく,外子宮口は全く開大せず.ネラトン氏ゴム・カテーテル8號をブジー挿入法と同様にして卵膜子宮壁間に挿入し,それに連結した注射器で生理的食鹽水100mlを注入し,腟入口部に於てカテーテルにペアン氏鉗子をかけておく.液注入は極めて輕い壓力で容易に出來,その際に疼痛其他の苦痛はない.

診療室

子宮癌組織標本の迅速製法

著者: 内野久 ,   村山文子

ページ範囲:P.128 - P.129

 性器出血を訴えて癌ではないかと來院した神經質な婦人に癌の疑があるので組織顯微鏡檢査が必要であると告げたら,その檢査判定の一分でも早いのを希むのは當然である.
 ところで今迄の樣に判定迄二,三日を要したらその間患者は恐く安眠も出來ず,食事も進まず憂鬱な日を送るであろう.その場合待つている間に組織の檢鏡が出來たら患者も落付くし治療方針も直ちに樹てられて便利この上もない.

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海外の動き

ページ範囲:P.130 - P.131

溶血性貧血を有する新生兒160例に置換輸血を施した成績
 J.J Van Loghem et H.L.J.M.Bartels.は160名の溶血性貧血のある新生兒に反覆して大量の置換輸血法を施して治療した.その輸血法はDiamond術式によつたが,たゞプラスチツクのカテーテルの代りにゴムのカテーテルを使用した.又大多數の症例にはヘパリン加血液を用いた.カテーテル及び注射筒は治療中に必ず規則正しく薄いヘパリン液で洗滌して凝血塊の形成を防いだ.
 36例の子供が死亡した.その死亡率は22.5%になる.しかし,この中の7名の死亡者は直接溶血性貧血には關係してはおらない.それ故,これを除外すると死亡率は18.1%となる.他の29例の死亡の原因としては,核黄疸(Kernikterus)によるもの9名,胎兒水腫によるもの3名,輪血血液の不調和によるもの3名,内臟出血によるもの5名,早産によるもの1名並びに處置の手遲れによるもの1名であつた.

私の經驗では

ページ範囲:P.132 - P.133

問7
 1.無痛分娩は賛成ですか.不賛成ですか.賛成の  場合はどの樣な方法をとられますか.
 2.手術後の鼓腸の治療法は.
 3.子宮頸癌の根治手術後持續カテーテル使用の可  否.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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