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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科4巻7号

1950年07月発行

雑誌目次

原著

妊娠の一簡易鑑別診斷法について—第1回報告

著者: 山元淸一

ページ範囲:P.261 - P.265

緒言
 妊娠子宮に子宮卵管造影法を行つてみると非妊子宮の場合に比して種々の點に於て兩者間に相異がある.其相異は影像の上に認められるのみならず造影劑注入壓にもみることが出來る,影像にみる相異は形態的變化ばかりでなく子宮筋の機能的状態の相異に因るものである.即ち妊娠子宮に於ては其影像は,子宮筋が著しく弛緩することによつて非妊子宮像にみる如き三角形像を失い丸味を帯び左右に長い楕圓形乃至球形に近くなる.又子宮筋の弛緩は注入された造影劑を比較的永く子宮腔に止め子宮腔像は注入後48時間で尚鮮明で,120時間,140時間,188時間後に於てさえも子宮内に造影劑を認めることが出來る.この際最も注目すべき所見は,胎兒死亡の場合は別として,子宮内に注入された造影劑は子宮内に停滯し,子宮口より排泄されることが全くないことである.

胎盤剥離機轉に對する疑義

著者: 九島勝司

ページ範囲:P.266 - P.267

 産科領域には先人の講述がそのまゝ無批判的に享け繼がれ,嚴密な檢討が加えられてない分野が今なお存在するようである.胎盤剥離機轉も亦その一つではないかと思われる.筆者が知る限りでは,總ての産科學教科書及參考書は本機轉を機械的剥離説で説明している.即ち「分娩中は,陣痛發作時に子宮が收縮し胎盤の附着面が縮小しても同時に子宮内壓が亢進して胎盤を附着面に壓定するから胎盤剥離は起らぬ.然るに胎兒娩出後は,子宮内壓及び子宮面積が急に減少し,更に第3期陣痛により胎盤附着部位は益々縮小するに反し,胎盤自體には縮小性がないため,終には兩者の間にズレが生じて剥離し,爾後は剥離部位から流出した血液が水力學的に剥離を擴大して行く」と言うのがそれである.しかしこの説には納得しかねる部分があるから少しく檢討して見ることにしよう.

所謂生活力薄弱兒の體重消長と哺乳量に就て(その1)

著者: 小澤五一郞

ページ範囲:P.267 - P.275

緒論
 余の所謂生活力薄弱兒とは統計學的觀察の便宜上初體重2500g以下の新生兒を云うなり.さて新生兒に關する統計學的研究の大多數は兒體重を中心として行われ,是が逐日的觀察は臨牀上新生兒發育判定の簡單且つ最も鋭敏なる指針となり新生兒哺乳量の研究と相俟つてその報告も尠からざるなり.
 一方新生兒哺乳量の研究は新生兒榮養法解決の第一歩にしてその計測は1850年頃より Bartsch,Camererその他により試みられ,以來泰西に於ては産科醫小兒科醫により數多その結果が發表せられ,又本邦に於ても大正年代より内藤,藤井,日野,伊豫田,里井,佐々木,有田,廣瀨,志賀,柚木,今津,山田,尾島,伊藤,森重,深松,福田,衛藤,野瀬等諸氏の業績は極めて多し.

症例研究

一羊膜一卵性双胎の1例

著者: 相浦辰猪

ページ範囲:P.276 - P.278

 一羊膜一卵性双胎は稀であり,且,兩兒共に死を免れるのは,更に稀であるとされているが,私は,最近,一羊膜一卵性双胎で,兩臍帶間に複雜な眞結節を作つていて,しかも兩者いづれも生兒を得た例に遭遇したので,興味あるものとして報告する.

僧帽瓣狭窄症による妊婦の急死例

著者: 中村ミヨ子

ページ範囲:P.279 - P.281

 一般に心臟の疾患と云うものは,不慮の死を遂げる事が稀でなく,特にそれが妊娠と合併している際は,時に重大な結果を惹起することに於て昔から注目せられ警戒せられている.殊にその死亡は非常に急激に起る事があり,家族や醫者の不意をつくことが多いのであるが,中でも僧帽瓣狭窄症は古くよりその豫後が不良であると云われている.今回當濟生會産院に於て經驗した一例を報告して皆樣の御參考に供したい.

ペニシリンの肝臓機能に及ぼす影響

著者: 高橋茂

ページ範囲:P.282 - P.284

緒言
 ペニシリンの抗菌作用以外の治療作用即ち間接作用として最近種々の作用が注目されて來たがその一つとして私はペニシリン投與前後の肝臟機能に就て臨床實驗を行つた故その結果を報告する.

論叢

ふたたび尾骨側部ドレナージについて

著者: 秦良麿

ページ範囲:P.285 - P.287

 わたくしはきよう臨床婦人科産科第4巻第1號をうけとつて,まず卷頭の荻野博士の「岡林式子宮頸部癌剔出術後の骨盤傍組織化膿防止策としての尾骨側部ドレナージの効果報告」という論文を拜見し,そのなかでわたくしが先般産科と婦人科第16卷10號に發表した尾骨側部ドレナージの追試報告は,それがペニシリンと併用されているがゆえに,むしろペニシリンによる効果と考えられる余地があるから,あれでは尾骨側部ドレナージの眞價をうたがわしめる結果にもなりかねないとのおとがめをうけたような氣がした.そして博士の論據となつたものの一つは,さきに本誌第3卷第9號に發表された加來教授のペニシリンによつて骨盤結合織炎を100%防止しえたという10例についての報告であるとおもわれる.しかし博士の論旨にはわたくしにとつて納得できかねる點があり,またわたくしの過去の化學療法成績の發表についてもやや誤解されている點があるかとおもうので,一應ことに私見をのべさしていただきたいとおもう.

座談會

優生保護法,三婦制度,産婦人科教授法について

著者: 安藤畫一 ,   石川正臣 ,   樋口一成 ,   柚木祥三郞 ,   眞柄正直 ,   藤井久四郞

ページ範囲:P.288 - P.297

 安藤 私が司會をいたします.本誌では今まで座談會に餘り關心を持つていなかつたのですが,今度から座談會を開いて皆さんの御意見を伺うという方針に改めましたので,その第1回のテーマを考えましたが,今迄は産婦人科に關する學問上のことが相當取扱われておりましたので,今度はそれと離れて産婦人科に關する制度上の問題を論ずるのがいいだろうということになつたのであります.それで優生保護法とこれから新しく實施されます保健婦・看護婦・助産婦の制度ともう一つ産婦人科學の教授法に對する批判,この三つをテーマとしてお集りいただいたのであります.これが今日の會を催しました主旨であります.

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海外文献

ページ範囲:P.298 - P.299

分娩直後の膣内にスルファチアゾール末撒布法に就て
C. W. Rotter and R. H. Long.
 分娩完了直後に腟内にスルファチアゾール末を撒布する効果に關する研究はロツター及びロングの兩氏によつて1946年に始められた.この研究の主眼は分娩後の早期に於ける疾患の發病に封するこの藥物の効果を判定することであつた.胎兒及び胎盤が分娩され,又必要處置も完了し,出血も止められた後に,左右陰脣を二本の指で開いてチアゾール末5gを示指及び中指で腟管中に深く後腟円蓋及び子宮頸部附近に至るまで撒布するのである.
 この成績の比較研究の基礎をなす症例は1948年6月15日から同年8月1日迄にGlenville Hospital及びBoothMemorial Hospitalで經腟性分娩をした者に就て行われたのである.これ等症例は2群からなつている.即ち第1群は腟内にチアゾール末を使用した者,第2群は腟内に何等のスルフオン劑も使用しなかつた者である.腟を經て分娩が行われた時の分娩時最後の處置として,腟内に豫防的にチアゾールを使用した結果,惡露の量及び惡臭は明瞭に減少したことが認められた.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

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69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

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69巻6号(2015年6月発行)

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69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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