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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻1号

1986年01月発行

グラフ 目でみる胎盤の診断学・1

胎盤の形成—超音波断層像でみる胎盤の発生と発育

著者: 竹内久彌1

所属機関: 1順天堂大学医学部付属順天堂浦安病院産婦人科

ページ範囲:P.4 - P.5

文献概要

 妊娠初期の絨毛膜がどのように胎盤となって行くのか,その過程はなお十分に明らかにされているとはいえない。一方,最近の画質の向上により,超音波断層像で妊娠初期の絨毛膜や脱落膜がかなり詳細に描写観察可能となってきた。
 この方法で見る限り,妊娠5週〜6週では絨毛膜は妊卵の全周をほぼ均等に覆うが,6週末より7週に入るとその一部の非薄化,不均等化が始まり,その範囲は次第に拡大する。絨毛膜無毛部の出現と拡大を見ているものであろう。一方,絨毛膜有毛部の部分に肥厚が起こり,無毛部との差が歴然としてくるのが妊娠8週ころである。しかし,有毛部と無毛部の境界は明瞭でなく.移行部がなだらかである。9週から10週へと,有毛部の肥厚とともに,無壱部への移行部もはつきりしてくる。およそ妊娠12週ないしそれ以降には,絨毛膜有毛部は境界明瞭な1個の塊として羊膜腔外側の約50%の範囲を占める。こらなれば形態的に胎盤の要素を備えたことになるが,名実ともに胎盤と呼ぶにはその他にいくつかの要素が必要と考えられる。その一つは,胚外体腔の消失,すなわち羊膜の癒合であり,超音波断層像上からは遅くとも妊娠16週中に完了する。胎盤表面の絨毛膜板エコーや分葉化の出現を条件とすると,これも妊娠16週あたりが確実な時期である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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