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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻1号

1986年01月発行

文献概要

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集 明日へのホルモン療法

ピルの副作用とその予防対策

著者: 佐藤恒治1

所属機関: 1総合高津中央病院産婦人科

ページ範囲:P.55 - P.57

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 「すべての薬は原則として毒だ。薬は常に生体にとって異質な物質であるから多量であればすべて有害である。」といわれる。薬には多かれ少なかれ副作用があり医師はもとより飲むひと自身が常に留意していなければならないのは当然である。
 最近,厚生省薬務局長宛に日本産科婦人科学会と日本母性保護医協会からそれぞれ治験認可の要望書が提出された「経口避妊薬」の安全性は以前から産婦人科医をも含め一般社会の受け取り方に,はなはだしい混乱があることは事実である。今日,ピルは受胎調節のための最も効果的な方法であるにもかかわらずマスコミなどによる執拗な副作用報道のため本法の使用を避けている婦人が多いことはたしかである。ピルには副作用も欠点もあるが大きな利点もある。利点と欠点をバランスにかけて利点の方が大きいならば利用した方がよい。利用しなくとも他によい方法があるならばそれに越したことはない。わが国では避妊に失敗し人工妊娠中絶を経験した女性は約30%におよび,結婚女性の3人にひとりは中絶の経験がある。中絶と比較してどちらが大きな危険性をもつだろうか。一方,100%確実なピルは世界の大部分の国で避妊法の第1位を占めており,昨界的に少なくとも1回はピルを経験した女性は1億5,000万〜2億といわれ,現在使用中の婦人は6,000万人という。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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