icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻12号

1986年12月発行

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集

不妊と不育への対応

不妊・不育と免疫因子,とくに免疫療法

著者: 香山浩二1 池田義和1 繁田実1

所属機関: 1兵庫医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.907 - P.908

文献概要

 妊娠・不育症の免疫因子として.表1に示すような因子が指摘されている。女性が精子あるいは精子に付着している精漿抗原に対して抗体を産生してきた場合には、子宮や卵管内で精子が抗体の影響を受けて受精出来なくなる。以前より卵巣成分に対する自己抗体の産生と卵巣機能不全の関係が注目されており,premature ovarianfailureとかgonadotropin resistant ovaryと呼ばれるものの中に顆粒膜細胞や黄体細胞などのステロイド産生細胞に対する自己抗体を産生してくるものがある。また,不妊婦人の中に卵細胞を包んでいる透明帯に対する抗体を持っているものがあり,この抗体が透明帯に結合して受精障害の起こることが指摘されているが,これに関しては否定的意見もあり結論に至っていない。一方,妊娠はするが早期に流産してしまう,いわゆる不育症あるいは習慣性流産の原因となる免疫因子として,抗血液型(抗P)抗体や抗胎盤絨毛抗体の他に,母児間の免疫学的認識機構の基本を成す主要組織適合抗原の関与が指摘され注目を集めている。本稿では紙面の都合もあり,不妊因子として精子免疫を,不育因子として母児間の主要組織適合抗原(ヒトではHLA抗原と呼ばれる)の相似性の2つをとり上げ,その治療法について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら