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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻2号

1986年02月発行

文献概要

原著

扁平上皮化生の生態と非悪性mosaic所見のメカニズムに関する研究

著者: 天神美夫1 室谷哲弥1

所属機関: 1佐々木研究所附属杏雲堂病院婦人科

ページ範囲:P.163 - P.167

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摘出子宮50例および非悪性mosalc所見を呈した生検材料20例につき,そのコルポ像と組織像を検討し,特に頸管腺の深さを測定したところ,以下に示す若干の知見を得た。(なお頸管腺の深さは表層上皮の最上部より腺最下部までを測定した。)
1)表層上皮に化生上皮が形成され始め,頸管腺上皮下にもrcserve cellの重層化がみられる頃の頸管腺の深さは1500〜2500μmのものが多い。
2)化生上皮が厚みを増し,頸管腺の中へ扁平上皮化生が発生するような形,いわゆるglandular involvcment様の所見の頸管腺は約1000μm前後の深さをもつ。
3)頸管腺が扁平上皮化生により置き換えられたものは,500μm前後の深さとなる。
4)非悪性mosaic所見の部位は,一定の間隔で開口する頸管腺内にむかって,初期化生から中期化生までの扁平上皮化生が,ある一定範囲にほぼ同じ程度に起こったと考えられる組織像に相当する。
 以上より,扁平上皮化生の進展に伴い頸管腺の深さは浅くなる。これは頸管腺の一種の退行性変化と考えられ,非悪性mosaic patternは,一定の条件下で頸管腺内に侵入する扁平上皮化生の部位がColpo所見上mosaicにみえることを意味するものと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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