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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻3号

1986年03月発行

雑誌目次

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集 生殖医学の進歩

精子の凍結保存と凍結精子の応用

著者: 相良祐輔

ページ範囲:P.187 - P.189

 1954年.Bunge et al.1,2)による凍結精子を用いた人工受精の妊娠成功例が報告されて,ヒト精子凍結保存の臨床応用の可能性が示されたと言って良い。精子凍結法では,超低温域に至るまでの−5〜−30℃の温度域でおこる氷晶形成現象から如何に精子を保護し得るかが成功の鍵であるが,そのためのprotectomediumにグリセリンを加えることを彼らが考案したのである、以来,protectomediumと凍結・融解による精子障害との関係について検討・報告がなされてきた。しかし,本邦でも一般医家の関心を特に集めるというものでもなかったと言えよう。近年,多彩なバイオテクノロジーの報告があいつぎ,なかでもいわゆる試験管ベビーの成功で,卵の凍結保存,精子の凍結保存についても,多くの臨床医家の注目が集まるようになった。
 今回は,筆者らが行っている精子凍結法の検討成績を中心に凍結精子の応用の成績もあわせて報告したい。

卵子の凍結保存とその問題点

著者: 金川弘司

ページ範囲:P.191 - P.193

 哺乳動物卵子の凍結保存は1972年にWhittinghamら1)によってマウスでの成功例が報告されて以来,世界各国の研究所や大学で追試が行われ,この数年間に卵子凍結保存の分野では著しい進展がみられた。特に,マウスやラットのような実験小動物だけではなしにウシのような家畜の受精卵が凍結保存されるようになって,畜産領域における応用が行われるようになってきた。きらに,バイオテクノロジーブームに乗って,「受精卵や胚銀行」あるいは「シーンバンク」構想もでて来たために,’受精卵や胚の凍結保存が注目されるようになった。
 しかし,哺乳動物卵子の保存は未だに完全なものではなく,複雑な手順,良時に亘る凍結方法および高価なプログラムフリーザーなどを必要としており,凍結保存卵を融解後,移植しても必ずしも高い妊娠率が得られていない。ウシの受精卵を例にとると,凍結しない新鮮卵の移植では50〜60%の妊娠率が得られているのに対して,凍結・融解卵の妊娠率は20〜30%である2)

精子の機能テストとその有用性

著者: 柳沢洋二 ,   吉田竹郎 ,   津端捷夫 ,   高木繁夫

ページ範囲:P.195 - P.199

 臨床的には日常精液所見が,すべて正常値を満たしているにもかかわらず,不妊となるケースを時に経験することがあり,また逆に超乏精子症でも稀に妊娠することがある。そのため男子の受精能を確認するには,in vitroまたはin vivoで,その精子がヒト卵子先を受精させるかどうかのチェックをすることがもっとも確実である。しかし,ヒトで卵子の採取をすることは容易でなく,これに加えて倫理的にも不妊外来のルチン検査法として実施するには問題がある。1976年,柳町ら1)は,雌性性器内における受精能の獲得,すなわちcapacitationや精子が受精する直前にその運動能が変化するhyperactivationがあり,さらに先体反応(acrosome reaction)のすべてを終わったヒト精子は,透明帯を除去したハムスター卵子に侵入すると報告したが,この方法を用いると形態学的には確認することができないヒト精子のcapacitationやacrosome reactionを起こしたことの間接的な証明が可能であり,ひいては男子の不妊因子の機能的な一面を検索することが可能となる。
 しかし本法は透明帯付着卵子でのテストではないので確実な精子の受精能判定とはならないし,また,その技術が煩雑であり,検査経費もかかるため.より正確に,また容易な検査法の出現が待たれてきている。

配偶子卵管内移植法(GIFT法)の現状とその問題点

著者: 関賢一 ,   岩田嘉行

ページ範囲:P.201 - P.203

 体外受精胚移植(IVF-ET)法の発展はこれまで挙児希望を断念せざるをえなかった多くの不妊症患者に新たな期待と夢を与えることができた。しかし未だ基礎的資料も十分とはいえず,手技的にも改良すべき問題点が多多あり,まだ確立さた治療法とみなさるに至っていない。
 また一方,一連の検査では原因の解明さない,いわゆる機能性不妊に対する新たな検査法や治療法の開発も必要であり,配偶者間の配偶子1,2)やドナー提供による受精卵の子宮内移植法3)などの試みも報告されているが,満足すべき成績は得られていない。

配偶子卵管内移植(GIFT法)の現状とその問題点

著者: 田中温

ページ範囲:P.204 - P.205

I.腹腔鏡下配偶子卵管内移植のはじまり
 体外受精・胚移植は卵管形成術では妊娠の望めない両側卵管閉塞の治療法として開発されたが,最近では男性不妊症や原因不明の不妊症に対しても広く応用されつつある。しかし,その適応性についてはなお多くの議論がなされている。また当科における卵管性不妊症を検討した結果,体外受精・胚移植の適応である両側卵管の完全閉塞の症例は,かならずしも多くなく,一側の卵管は開存している症例の方がむしろ多数を占めることが判明した1)。さらにこの点とNoyesら4,5)の研究を参考とし,受精,卵割の場を自然と同様に卵管内に求め,排卵前の卵胞卵と精子とを卵管采より卵管膨大部に移入する配偶子卵管内移植法に着眼した(図1)。本法による妊娠率を検討するためにマウスを用いた実験6)を行った。その結果良好な成績を得ることができたために,昭和59年より臨床応用を始めた。

卵胞卵採取手技の進歩—超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺

著者: 井上正人 ,   本田育子 ,   小林善宗 ,   藤井明和

ページ範囲:P.207 - P.209

 体外受精IVF-ETにおいて最も重要なことは成熟した"よい卵子"を数多く採取することである。このため採卵は通常,刺激排卵周期を用いて腹腔鏡下に行われる。しかし,卵管性不妊の中には骨盤内の癒着が高度で,腹腔鏡による直視下の卵胞穿刺が不可能なケースが少なくない。このような症例に対して我々は超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺を行っている1,2)。超音波ガイドによる採卵は局所麻酔でも十分行えるので,全身麻酔が不適当な症例に対しても有効である。またこの新しい採卵法はIVF-ETの簡素化の目的にも用いられている。IVF-ETで最も手間のかかるのが採卵である。入院を必要とするのもいわば全身麻酔下に採卵するためである。この点,超音波ガイドによる採卵は外来でも行えるので必ずしも入院を必要としない。ヨーロッパでは実際,IVF-ETを外来ベースで行っている施設が少なくない。
 本稿では超音波ガイドによる経膀胱的卵胞穿刺の実際について述べる。

排卵予知の進歩

著者: 宮川勇生 ,   森憲正

ページ範囲:P.211 - P.213

 排卵を予知することは,体外受精をはじめとする不妊症の治療,また,避妊を目的とした家族計画にとって極めて重要である。殊に前者では,できるだけ正確に排卵の時刻を予知し,成熟卵を採卵することが操作過程の第一歩であり,その成功を左右する。
 排卵日や排卵時刻の予知法として,①ホルモン測定による方法,②超音波断層法による卵胞形態の変化を観察する方法,③頸管粘液などの臨床症状による方法,などが挙げられる。

卵管マイクロサージェリー応用の限界と将来

著者: 野口昌良

ページ範囲:P.215 - P.218

 K.Swolin1)が卵管閉塞症の手術療法を行う際に,世界に先がけて拡大鏡を用いたのが1966年と伝えられている。その後,彼のこの報告を聞き,V. Gomel2),K.Winston3)らが彼から手ほどきを受け,そして1974年には多数例での成績を,この両者は国際不妊学会で発表した。
 このころから本邦においても,少しずつ卵管のマイクロサージェリーへの関心が集まりはじめ,1981年には東海大学藤井教授により世界の大家7名を一同に集めての国際ワークショップが開催されるに至った。しかしながら英国4)では,1978年体外受精による出生が成功し,1983年には,東北大5)においても体外受精児第一号が誕生した。ここで注目すべきことは,K. Swolinから10年余の歳月による卵管マイクロサージェリーの積み重ねののちの,IVF-ETに至った欧米と,マイクロサージェリーもIVF-ETも殆んど時を同じくして導入されたというわが国の事情が,少なからずマイクロサージェリーとIVFの卵管不妊症治療上の位置付けに不明確さを生んだといっても過言ではない。とはいえ,東海大,東北大などでは優れたマイクロサージェリストがあり,手術療法後の不妊患者と手術療法の適応のない患者に限ってIVF-ETが行われていると聞く。これが本来あるべき姿と思われるが,必ずしもこの両方法を多くの同一機関が行い得るところまでは現在至っていない。

生殖における免疫因子の統御解除—とくに反復流産治療を中心に

著者: 八神喜昭 ,   青木耕治

ページ範囲:P.219 - P.221

 母体にとっては異物である胎児が生着し,妊娠を継続することは,母児間に特殊な免疫学的維持機構が働いており,その破綻によって流産が生じるとの考え方は,極めて魅力的であり,これに関する多くの研究がなされてきた1)
 最近,ヒト主要組織適合遺伝子複合体であるHLA抗原系の夫婦間における類似性の存在が,妊婦における生着反応としてのblocking antibodiesの産生を妨げ,これが胎児の生存にとって免疫学的に好ましくなく,習慣流産の免疫学的原因となるとの学説が注目されている2)

Early Pregnancy Factor (EPF)活性の意義とその臨床応用

著者: 末岡浩

ページ範囲:P.223 - P.225

 受精のindicatorとしてロゼット抑制反応の増幅作用で検出されるearly pregnancy factor (EPF)が1974年オーストラリアのH. Mortonによって報告されて以来,これまでにヒトを含めた各種哺乳類の血中,尿中および体外受精卵培養上清より検出されたことが報告きれている1〜9)。主な検出部位と検出時期について表1に示すが,我々は体外受精卵培養上清から授精後わずか15時間の前核期にEPF活性を検出し,さらに卵丘細胞を除去した前核期から4ないし8細胞期まで培養した培養上清中にも活性を認めたことを報告した9)。このことはEPFが受精後間もない,しかもタンパク合成の開始される以前の受精卵より出現したことになり,EPFが産生さねたのではなく,受精により放出された可能性を強く示唆している。また,胚移植前後の母体血中EPFは妊娠功例では第3日目より高値をとり,少なくとも第7日目まて’増強または高値が持続した。早期流産例では第3日目より上昇を示してても早期にプラトーに達し,明らかに妊娠例に比較して低値を示した。また非妊娠例では全く活性の上昇を認めないか,第3日目頃軽度上昇を示してもすぐに低下をし.少なくとも第6日目には低値を示した。このことは受精によってEPFが放出されたとすれば,受精卵が変性したか,または着床せずに体外へ排出したことを示唆している。

体外受精・胚移植法の応用と将来

著者: 久保春海 ,   安部裕司

ページ範囲:P.227 - P.229

 ヒト体外受精・胚移植法(IVF-ET)が不妊症治療の一手段となり得てから,世界中で600人らかくのIVFET児が誕生したことになる1)。IVF-ET法において初期胚を子宮内に移植するという非生理的な環境を止むを得ずとするならば,その着床率の低いのも是認せざるを得ない。このような手技上の問題点を別とすれば,ヒトIVF-ET法は各施設間に大同小異はあっても,ほぼ確立された手法になりつつある。
 われわれは以前からIVF-ETの手法を応用して,ヒト配偶子間の直接受精能判定法2)や受精能獲得精子による簡易人工授精法3)などを不妊症の診断・治療に用いている。今回,その手技および成績について考察して有用性を報告し,またIVF-ET法の応用による人為的生殖生理コントロールに関する若干の考察を加えた。

Current concept

妊娠の成立機序

著者: 鈴木秋悦 ,   倉沢滋明 ,   小松節子

ページ範囲:P.181 - P.186

 ヒトの生殖,すなわち排卵,受精,着床から妊娠成立に至る過程の多くの問題は,従来,初期の発生に関する研究という困難さから.十分に解明されていなかった。さらに社会的,倫理的な問題との関係から,臨床医学において生殖そのものが扱われることも少なかった。しかし.それらの多くの困難は,過去10年ないし20年の間に次々に乗り越えられ,生殖生物学の著しい進歩にともなって,生殖医学としてめざましい発展をとげてきた。この端緒となったのは,経口避妊薬の開発という,きわめて現実的,臨床的な問題であった。この目的のために排卵に関与する内分泌学的現象,卵巣における卵胞成熟のメカニズムといった,それまで未知だった多くの問題が注目され,解明されてきた。さらに,先天異常発生に関連して,初期発生学の領域でも優れた基礎的研究が積み重ねられてきた。また不妊治療においても,人工受精や卵管手術などの方法が行われ,さらに生殖生物学における知見の臨床的応用とも言うべきIVF-ETが成功するようになって,いまや生殖医学は,臨床医学の中のみでなく,社会的にも大いに脚光を浴びる存在となった。
 そこで,この分野における最近のめざましい進歩をふまえて,生殖,妊孕性をめぐる基礎的ならびに臨床的に注目すべきいくつかの問題について考察を加えてみたい。

グラフ 目でみる胎盤の診断学・3

胎盤の走査電顕像

著者: 松井義明 ,   村上雅義 ,   奥平吉雄

ページ範囲:P.172 - P.173

 胎盤がディスポーザブルな臓器で一見それ程腹雑な構造を有していない割には,極めて多彩に合目的機能を発現するということは,reproductionにおける大きな神秘の一つである。就中,最も重要な働きである母体—胎児間の物質変換の場である絨毛間腔において両者のフロンティアーにあたるシンシチウム細胞の表層を被う微絨毛の構造がいかなるものかは大いに興味あるところである。このような場面を目のあたりに観察するのに分解能のすぐれた走査電顕は最適の道具といえよう。本項では機能形態ともまだ未熟な妊娠8週と完全に成熟した39週の胎盤の観察をおこなう。

指標

生命倫理に関する諸外国の現状

著者: 星野一正

ページ範囲:P.175 - P.179

 ヒトを対象とした医療を含む医学的研究についての倫理的配慮は重要なことであり.古くて新しい問題である。
 世界医師会総会においても度々論じられており,1975年に東京で開催された総会の際に「ヘルシンキ宣言東京修正案」が発表され,世界各国において,その趣旨が尊重されていることは周知のことである。

トピックス

腟あるいは子宮頸部の扁平コンジロームに対するインターフェロンの治療効果

著者: 田部井徹

ページ範囲:P.180 - P.180

 腟あるいは子宮頸部に発生した扁平コンジロームは,疣贅(いぼ)ウイルスにより起こるといわれ,外見上カリフラワー様凸状を示す乳頭コンジロームと異なり,扁平状に広範囲に亘り多発する傾向があるが,両者の組織像は比較的類似している1)。扁平コンジロームの発生頻度は,乳頭コンジロームに比べて高く,表皮の異形成を合併しやすい2)
 一般に,外性器に発生したコンジロームなどの疣贅に対早する治療は,冷凍凝固,レーザー照射を行うか,外科的に切除することが多く,ときにブレオマイシンなどの抗癌剤投与が試みられているが,パピロマウイルス感染による扁平コンジロームに対しては難治性で無効のことが多い。

講座 実地医家のためのホルモン講座 ホルモン療法の実際・3

機能性出血の治療

著者: 平野睦男

ページ範囲:P.230 - P.236

 機能性出血(機能性子宮出血)とは,月経とは無関係に持続性または断続性にみられる子宮出血のうち,器質性子宮出血を除外した内分泌失調に基づくものを総称した疾患名である。倉智(1971)が大阪大学産婦人科における満3年間の機能性出血患者の年齢分布をみたところ,成熟期婦人に最も多く,庭年期出血がこれにつぎ,若年出血は最も少なかったと報告し(松本2)による),また中山(1974)4)は東京大学産婦人科においても,機能性出血は成熟期婦人に最も頻度が高く,次いで更年期に多かったと報告している。
 したがって,機能性出血は内分泌環境の不安定な思春期や,卵巣機能の衰退期である更年期に発生しやすいとは限らず,このことは機能性出血の発生機序には性腺系内分泌機能以外の因子,たとえば線溶現象なども関与している可能性も考えられる。

図解 救急基本手技

輸液

著者: 竹内正七 ,   吉谷徳夫

ページ範囲:P.237 - P.241

緊急時の輸液のポイント
 1)緊急時の輸液路の確保は2本以上行う。その内1本は中心静脈圧(CVP)を測定できるようにする。
 2)静脈の選択にあたっては,患者の取り得る体位,体動,病変の部位を考慮しつつ,なるべく太く血流量の多い静脈で,固定が確実にできる部位を選ぶ。

思い出の写真

恩師の思い出

著者: 加来道隆

ページ範囲:P.242 - P.243

 臨床医を志した私は学生時代内科に最も興味をもら,よく勉強もしたが,郷里で産婦人科を開業していた兄のすすめと好意で昭和3年4月同期生17名の中に加って,東大産婦人科教室に入局,副手の辞令を頂戴した。勿論無給である。かくも多数が入局したのは,安井修平助教授が欧州留学の直前で,帰朝後は臨床をやりながら研究もできるだろうという噂さが拡ったためであった。
 教室には当時磐瀬雄一教授の下に安井修平助教授(留学中),佐伯誠一,岩田正道の両講師,医局長中山栄之助氏以下助手3名,副手15名がいたが,17名の新入局者で居場所は勿論,勤務分担の様子も大分変わった。新入副手(ネーベン)は助手や先輩副手の下に2人ずつ,分娩係,産褥—新生児室.婦人科手術患者室(3室)1,2等室,放射線係などに配置された。分娩係は3組で3日に1日の泊り,正午から翌日正午までの勤務であった。ネエベンの仕事はハウプトを手伝い,予診,一般検査,記録および病歴整理,手術時の麻酔助手や患者の股間での鈎持などであった。患者が多く,部署によってはとても忙しく,1年経てばハウプトになるので大いに勉強もしたが,暇な時にはテニスや野球もして結構楽しんだ。

薬の臨床

広汎子宮全摘術後等の排尿異常に対する塩酸オキシブチニン(KL007)の臨床効果

著者: 笹川基 ,   湯沢秀夫 ,   大野雅弘 ,   金沢浩二 ,   竹内正七 ,   笹川重男 ,   高橋威 ,   加藤政美 ,   佐々木綾子 ,   三沢芳夫 ,   後藤司郎 ,   新井繁 ,   高内則男 ,   畠山弘子

ページ範囲:P.245 - P.254

 広汎子宮全摘術後の膀胱機能障害(急性期),広汎子宮全摘術後の尿失禁(慢性期)および放射線性膀胱炎患者46例を対象に塩酸オキシプチニン(KL007)を投与し,自覚症状の調査,膀胱容量並びに残尿量の測定を行った。広汎子宮全摘術後の膀胱機能障害患者の自覚症状では尿充満感および排尿困難に改善がみられた。1回量3mg投与群では投与後最大膀胱容量の有意な増加がみられた。広汎子宮全摘術後の尿失禁および放射線性膀胱炎患者の自覚症状では頻尿,尿意促迫感および尿失禁に改善がみられ,また膀胱容量の増加傾向がみられた。副作用については重篤なものはみられず,いずれも軽度で投与継続可能であってことから,広汎子宮全摘術後等の排尿異常に対して塩酸オキシブチニン有用であると考えられた。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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