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先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
免疫療法の評価
文献概要
癌に対する免疫療法の基本は,担癌生体における,免疫機構の正常に作動していない,あるいは弱い部分を補うところに主眼がある。これが,外科的療法や放射線療法,あるいは抗癌剤による化学療法などと明らかに異なる点である。"免疫"という概念が癌治療に導入された当初は,臨床の場における明るい展望も考えられたが,これらの試みの土台がいわゆる古典的な免疫反応の域を出ていなかったため,多くは期待を裏切る結果に終わっていた。しかし,最近の免疫学自体の進歩と遺伝子工学技術の医学への応用には目覚ましいものがあり,再び免疫療法への関心が集まってきている。そこで本稿では,ヒト癌に対する特異的免疫療法の,特に最近急激な発展のみられている部分について,その概略を述べてみる。
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