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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻6号

1986年06月発行

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集

感染症とその化学療法 Current concept

産婦人科感染症の動向とその治療

著者: 松田静治12

所属機関: 1江東病院産婦人科 2順天堂大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.413 - P.420

文献概要

 診断技術や抗生剤はじめ各種薬剤を含めた治療法の多様化につれ,近年多くの疾患に変貌がみられているが,感染症の分野では病像や起炎菌のうえで特にその傾向が著しい。
 産婦人科領域における感染症は術後感染として発病することが多いうえに,近年のそれは弱毒細菌やウイルスなどによるopportunistic infection, endogenous infec—tionとして表現されるように,その発症には宿主側の因子が大きく関与するほか,各種薬剤や放射線治療,手術などによる広義の医原性感染も見のがせないところである。このように宿主の弱味につけこんだ感染はそれ自体単純な感染ではなく難治性感染症が多い。その背景の一つは,compromised hostあるいはimmunocompromisedといわれるような易感染状態宿主の増加であり,oppor—tunistic pathogenがこの場合の原因菌である。他方,菌側からみると耐性化と抗生剤に不感受性の菌の存在があり,さらに治療面からはグラム陰性桿菌に対する抗生剤の抗菌力がいまひとつ弱い点が誘因となろう。したがって難治性感染症はわが領域でも基礎疾患や各種の誘因をもつ者に誘発されたものが少なくなく(図1),基礎疾患の症状や各種の治療の影響で感染症もゆがめられ,診断や治療に難渋する場合が多いのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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