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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻6号

1986年06月発行

文献概要

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集 感染症とその化学療法

Septic shockとその治療

著者: 望月英隆1 伊藤英人1 田崎賢一1 中川浩二1 玉熊正悦1

所属機関: 1防衛医科大学校第一外科

ページ範囲:P.437 - P.439

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 細菌による感染が一次的な原因となって生じるショックをsepticあるいはbacterial shockと呼び,既に19世紀初頭にLaennecが"a shock-likestate in association with infection"を記載した頃から知られていた1)。その当時はグラム陽性球菌が感染症起炎菌の大部分を占めていたが,1960年代の後半からは,外科領域で遭遇する重篤な感染症の起炎菌はグラム陰性桿菌にその主座が移り,現在に至っている2)。グラム陰性菌の菌体成分であるエンドトキシンは強力なショック作用を有し,これを動物に静脈内投与した際に認められる実験的ショックはエンドトキシンショックと言われ,感染に続発するショックの病態生理究明のモデルとして,盛んに研究されてきた。このような実験的エンドトキシンショックは本質的には心拍出量が減少し,血圧が下降して遂には死に至る進行性の経過をとり,実地臨床で遭遇するseptic shockの病態とは必ずしも一致しない面があり,従ってエンドトキシンショックとseptic shockとは完全な同義語ではない。しかし,前述のように,外科領域でみる感染はグラム陰性菌によるものが多く,septic shockの病態に及ぼすエンドトキシンの影響は非常に大きいものであることを先ず指摘したい3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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