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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻7号

1986年07月発行

講座 実地医家のためのホルモン講座

ホルモン療法の実際・7

多嚢胞性卵巣症候群のホルモン療法

著者: 田辺清男1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.542 - P.546

文献概要

 多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic Ovary Syndrome,以下PCOSと略す)は,1935年にSteinとLeventhalが両側の卵巣腫大に男性化,月経異常及び不妊症を伴うことを見出し,更にそれらが卵巣の楔状切除により改善されることを報告1)して以来,PCOSに関して膨大な量の論文が発表されている。しかし,いまだPCOSの原因,模状切除術が有効であるメカニズム等がはっきりしていないだけでなく,PCOSの概念そのものも人によって異なっており,従って治療法に関してもさまざまな意見がある。
 卵胞が嚢腫様に卵巣に多数存在する状態,即ち多嚢胞性卵巣(PCO)は,正常性周期を有する婦人から第2度無月経の一部に至るまで幅広く存在すると考えられている。当然のことながら,正常性周期を有する女性には何ら治療を行う必要がなく,PCOとPCOSとは概念上はっきり区別して考える必要がある。一方,原因に関しても中枢説,末梢説,副腎説等あり,また中枢説においても例えばドーパミンの異常によりPCOSは起こり,従ってPCOSは高プロラクチン(PRL)血症と関係があると主張する人もおり,その結果,治療法についても種々である。いずれにしろ,PCOSにはいろいろな病態があり,一つのentityを決めることは現在全く不可能であり,従って治療法もそれぞれにより異なる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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