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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻8号

1986年08月発行

先進医療—日常診療へのアドバイス 特集

胎児心拍数曲線の考え方—発現機構とその調節

胎児心拍測定の誤差とその限界値

著者: 穂垣正暢1 八木憲一郎1 大川とみ1 竹内康人2

所属機関: 1帝京大学医学部産婦人科教室 2横河メディカルシステム

ページ範囲:P.581 - P.584

文献概要

 胎児心拍計測に直接児頭誘導心電とドプラ信号入力が一般的な方法となって久しい。現在では誤動作の少ない心拍数計が広く一般臨床に用いられ心拍曲線による評価が定着している。その結果,胎児心電あるいはドプラ信号の原波形の観察はごく少数の研究施設に限られるようになった。しかし,胎児心拍測定はその開発の歴史が示すように,胎児と母体という2つの独立した生命のもたらす雑音の多い情報の中から胎児心活動に由来する周期的な成分のみを抽出するという困難なプロセスである。しかも,胎児心からの情報は,母体,胎児両者の干渉によって絶えず質的な変化を示し,いわば千変万化いとまもない。さらに厄介なことは,このような入力信号の質的変動のために,心拍計測精度も大きな影響をうけ,誤動作には至らなくとも,測定誤差は絶え間なく変動していることである。
 したがって,心拍曲線の定量分析にあたっては,使用している装置の測定限界を知るとともに,原信号の質的分析を行うことが欠かせない。このように注意を払わないで心拍曲線の分析を行った例として,数年前に流行した心拍曲線の一次微分曲線の分析があげられる。それは,心拍間隔の変化分の測定には,測定器に要求される精度として 1 msec が最低限必要であるにもかかわらず,当時の心拍数計の誤差限度は5〜10msecであることを無視して測定を行ったために,結果として得られた微分曲線は判読不能となった報告がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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