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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科40巻8号

1986年08月発行

文献概要

図解 救急基本手技

呼吸管理

著者: 井口登美子1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.627 - P.631

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●救急のポイント
 産婦人科領域で緊急に呼吸管理を行うのは,肺循環器系に器質的疾患(喘息,先天性・後天性心疾患)を有する時,出血によるショック,羊水過多や多胎などの異常妊娠による圧迫,妊娠後期の仰臥位低血圧症候群,重症妊娠中毒症,糖尿病などである。呼吸不全の患者に対する治療は母児の予後を大きく左右する。そこで産婦人科医が呼吸不全の患者に接した時は,可能な限りの詳細な病歴聴取,その原因,病態像を把握し,早期に的確な検査,救急処置を行うことが必要である。
 まず救急患者のバイタルサインを観察し,呼吸不全の状態から気道確保の緊急性の有無,補助呼吸の必要性,呼吸不全の重症度を速やかに判断する。呼吸困難とは患者が自覚する不快な努力する呼吸のことで,空気が肺胞内に周期的に出入せず,肺胞換気が不十分となり,肺胞ガス成分に異常をきたした状態である。呼吸困難の原因は①肺性,②心臓性,③閉塞性,④血液性,⑤心因性(器質的疾患はなくCO2過剰喪失による過呼吸症候群がある),⑥運動時呼吸困難(時に生理的)に分類され,臨床的に重要なのは①,②,③である。臨床的に広く用いられている呼吸困難の分類は呼気性,吸気性,混合型呼吸困難であり,これら疾患の臨床像,診断法を表1に示した。呼吸困難の状態,いつから出現したか,呼吸様式,チアノーゼの有無,意識状態の観察と同時に緊急検査を行う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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