icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科41巻1号

1987年01月発行

境界領域の再評価とその展開 特集

Gynecologic Functioning Tumorとその外科的対応

下垂体microadenomaとプロラクチン—とくにその外科的対応

著者: 寺本明1

所属機関: 1東京警察病院脳神経外科

ページ範囲:P.25 - P.28

文献概要

I.microprolactinornaの頻度
 剖検下垂体にsubclinical microadenomaが認められる頻度は2.7%から24%までとかなりの開きがあるものの,およそ10%弱とする報告が多いようである。筆者らは1,000例の剖検下垂体を検索し内58例,5.8%にmicro—adenomaを見出した1)(図1)。このなかの30例に対し6種の前葉ホルモンに関する免疫染色を行ったところ,9例(30%)がプロラクチン(PRL)陽性,2例(7%)が成長ホルモン陽性であり,他の19例は全て陰性であった。免疫染色で陽性所見を呈することと,ホルモンの積極的な分泌とは必ずしも一致しないものの,単純計算上一般人口の2%弱にsubclinical microprolactinomaが存在することになる。
 一方,臨床的にPRL産生腺腫の存在はForbesら(1954)の報告2)以来信じられて来ていたが,これが実際に診断されるようになったのは1971年PRLのRIAが確立してからのことである3)。その後下垂体腺腫に関する古典的な臨床概念は一変し,ホルモン産生腺腫のなかでPRL産生腺腫の頻度が最も高いことが明らかになった。一時期は腺腫手術例中の50%近くを占めたことがある。なかでもトルコ鞍の拡大を伴わない腺腫が内分泌学的に診断されるようになり,microadenomaという臨床用語が盛んに用いられ始めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら