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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科41巻11号

1987年11月発行

境界領域の再評価とその展開 特集

産婦人科と皮膚

パピローマウイルスと性器癌

著者: 谷垣武彦1 欠田良児1 羽倉明2 湯通堂満寿男2

所属機関: 1大阪大学医学部附属病院皮膚科 2大阪大学微生物病研究所腫瘍ウイルス部門

ページ範囲:P.739 - P.744

文献概要

 パピローマ(疣贅,乳頭腫)はヒト乳頭腫ウイルス(Human papillomavirus,HPV)が皮膚粘膜に感染し生じる良性腫瘍で臨床的には尋常性疣贅,扁平疣贅,足底疣贄および尖圭コンジロームなどに分類される。しかし1人の患者にいくつかの多彩な病型がみられることがしばしばある。特殊な病型としては疣贅状表皮発育異常症(Epidermodysplasia verruciformis,L-L,1922,EV),Bushke-Löwenstein腫瘍およびBowenoid papulosisがあり,皮膚以外では咽頭乳頭腫,子宮頸部の扁平コンジロームもHPVによっておこる。従来はこれら臨床像の違いは,感染したウイルスの違いによるものではなくて,疣贅の発生する部位の皮膚の状態など種々の免疫の差によるものと考えられていた。しかしながら,遺伝子工学等の分子生物学の進歩によって,HPVは1種類と考えられていたのが多くのタイプが存在することが明らかになった。特にEVはHPV易感染性で本患者から20数種類のHPVのタイプが分離報告されている。本邦ではEV患者の50%に悪性腫瘍の合併がみられ1),その腫瘍組織中に特定のHPV 5,8,17および20の存在が確認されHPVが癌と深い関連を持つことが明らかにされつつある2,3,4,5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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