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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科41巻12号

1987年12月発行

境界領域の再評価とその展開 特集

産婦人科に必要な形成・整形外科の知識

人工造腟術

著者: 神保利春1

所属機関: 1香川医科大学母子科学講座

ページ範囲:P.821 - P.824

文献概要

 人工造腟術の対象となる腟欠損または腟閉鎖には,先天性のものと,外傷や炎症による後天性のものがあげられる。先天性であれ,後天性であれ,正常の子宮を持ち,将来妊娠や出産の可能性が期待できる腟欠損や腟閉鎖症では,思春期に至って,無月経の主訴に加えて,周期的下腹痛や下腹部腫瘤を伴うので,治療医学的立場から,造腟術の絶対的適応となる。先天性腟欠損の95%近くを占めるRokitansky-Küster-Hauser症候群の場合は,性生活のための機能回復を目的として造腟術が施行される。
 造腟術は,術式の種類が多彩であるという点において,産婦人科領域の手術のなかでは,子宮脱垂手術とならんで双壁をなしている。術式の種類が多いということは,それだけ治療がむずかしいことにも通ずるが,形成手術であるだけに,一度失敗すると再手術は更に困難となる。すなわち,初回手術にあたっては,疾患の種類,欠損の程度,患者の年齢,疾患や治療に対する患者の理解度などを充分把握するとともに,一方で,各術式のもつ特徴,長所・短所を充分認識したうえで,術式を選択することが大切である7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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