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境界領域の再評価とその展開 特集 乳房と乳腺
乳腺症の治療
著者: 冨永健1
所属機関: 1都立駒込病院外科
ページ範囲:P.97 - P.99
文献購入ページに移動 乳腺症と呼ばれる疾患は,病理学的には実に多彩な病変を包含しており,単一なものではない。歴史的には,乳房に境界不鮮明でしばしば疼痛を伴うしこり(腫瘤)としてMastopathieの名で統括されてきた。その呼び名も欧米ではmastopathia cystica chronica, mastopthia,cystic disease, fibrocystic disease, mammary dysplasia,fibrocystic mastopathia, chronic cystic mastitisなど実に多い。原因としては,性ホルモンの失調による乳腺組織の増殖,退縮,化生などが混在して臨床症状を呈するものと考えられている。したがってその治療はそれぞれの病態に応じてまったく異なっており,乳腺症であっても,まずどのような系統に属するものかを的確に診断した上で治療方針が決められるべきである。図は,乳腺症と,それと鑑別上極めて重要である癌と線維腺腫の年齢別発生頻度を示したものである。線維腺腫は20歳台を中心として比較的若年者に多いが,乳腺症は30〜40歳台に多く,乳癌の好発年齢に近い。しかし,50歳以後はあまりみられず,この点からもホルモン環境との関連性がうかがわれる。
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