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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科41巻5号

1987年05月発行

境界領域の再評価とその展開 特集

産婦人科心身症

精神科医からみた産婦人科関連の心身症

著者: 笠原嘉1

所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.299 - P.301

文献概要

 きっと読者は精神医学が精神病だとか神経症(ノイローゼ)だとか心身症だとか性格異常(性格障害)といったわかりにくい概念を使って話をすることに多少とも抵抗感をおもちだろう。このあたりを少し整理しておみせすることから話をはじめたい。まず「精神病」と「神経症」の差は精神障害の重篤度のちがいと考えていただいてよい(図1)。そして神経症と精神病の間の移行は,全くないわけではないが,あまりない。いい換えると,神経症は長びくことがあっても神経症のレベルに止まるのが,ふつうである。これに対し,「正常範囲」と神経症との間の移行は十分ありうる。瞬間をとらえれば誰もが神経症的であるかもしれない。例えば,ガスの栓をしっかり締めたと知っていながら,もう一ぺん,いやもう三べん確認しなければ「気がすまない」というようなことは,比較的ひろくみられる。しかし強迫神経症と精神科医が診断するには,このようなことが持続的におこりつづけていなければならない。その差は図2のようである。正常範囲内の悩みは長つづきしない。神経症の悩みは同心円上を動きつづける。
 では本誌のテーマである「心身症」はどこに置かれるか。図1でいえば,それは神経症レベルの障害である。決して精神病レベルの重い障害ではない。これがまず第1点。次に心身症はその名のとおり「身」体の症状を明白にもつ(たとえば消化器潰瘍,円形脱毛症といったように)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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