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妊娠中におけるHeparinの律動的な投与の試み
著者: 田部井徹1
所属機関: 1赤心堂病院
ページ範囲:P.390 - P.390
文献購入ページに移動 妊娠中における母体の血液凝固能は亢進し,後期になると線溶系が低下する傾向がある。従って妊婦は,血栓性静脈炎などに羅患しやすく,妊娠中に抗凝固剤の投与が必要になることがある。重症静脈性血栓の既往のある妊婦が,血栓症を再び発生する頻度は約15%といわれ,血栓塞栓症を予防するために抗凝固剤を投与することが多い。また人工心臓弁置換後の妊婦は妊娠中の抗凝固療法が不可欠であろう。現在,臨床上広く使用されている抗凝固剤は,経口剤であるクマリン系のWarfarinやDipyrididamoleなどであるが,これらの薬剤は胎盤通過性のため胎児あるいは新生児への催奇性を示し,fetal warfarin syndromeとして知られている1)〜3)。人工弁置換後患者の妊娠を禁忌としている施設さえある。
一方,注射投与のHeparinは,胎盤不通過であるために,上記の薬剤に比べて胎児への影響は少ないと考えられている。しかしHeparinの半減期は短いため,1日に頻回注射しなければならない。
一方,注射投与のHeparinは,胎盤不通過であるために,上記の薬剤に比べて胎児への影響は少ないと考えられている。しかしHeparinの半減期は短いため,1日に頻回注射しなければならない。
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