icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科42巻1号

1988年01月発行

特集 腫瘍マーカー

癌胎児抗原の臨床

著者: 樋口正臣1

所属機関: 1香川医科大学母子科学講座

ページ範囲:P.41 - P.45

文献概要

 胎児性蛋白は胎生期のある期間,phase specificに産生され胎児の成熟と共に産生が抑制される蛋白成分の総称である。出生後,胎児蛋白が検出されなくなるのは,胎児蛋白をコードする遺伝子が正常では細胞の分化成熟に伴って抑制されるためで,癌化によりこの遺伝子の発現の抑制がとれ,再度産生される胎児蛋白を癌胎児蛋白と称している。癌胎児蛋白は胎生期において細胞と細胞間の認識,自己および非自己を識別する上で重要な役割を演じ,個体の正常な分化誘導に不可欠な物質と考えられている。しかし癌化によって再出現する癌胎児蛋白の生理的意義についての詳細は未だ明らかにされていない。今までに癌胎児蛋白については多くの報告があり,それらの癌胎児蛋白はFishman1)により,癌・胎児共通抗原,癌・胎児・胎盤共通抗原,癌・胎盤共通抗原の3つのグループに分類され広く利用されていたが,近年これらは,すべてOncodevelopmental antigenと総称されるようになった。本稿では紙面の都合上,これら多くの癌胎児蛋白のうち産婦人科領域に関係のある,α-fetopro-tein,Carcinoembryonic antigen,TA 4,種々のモノクローナル抗体により同定される癌胎児蛋白と,最後に宿主に高い抗原性を有するOncofetal antigen-Iについて臨床面を中心に概説することにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら