icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科42巻2号

1988年02月発行

指標

子宮頸部腫瘍に対するレーザー療法

著者: 蔵本博行1 脇田邦夫1

所属機関: 1北里大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.111 - P.121

文献概要

 本邦での死亡原因のうち,がんによるものが最も高率であると言われて久しい。事実,肺癌,肝癌,乳癌などは著しく死亡率が上昇してきている。しかし,子宮癌では明らかに年々低下を示しており,他の癌に比較してみると特異的な存在であるといえる(図1)。これは,ひとえに子宮頸癌検診の普及によって,早期発見と早期治療が現実のものとなって来たことによるものであろう。われわれの施設の治療成績でも(表1)1),臨床進行期Ib期以上の進行癌ではまだまだ死亡者は跡を断たないが,上皮内癌(0期)や微小浸潤癌(Ia期)の早期癌では,他病死を除けば生存率100%のレベルにある。老人保健法による子宮癌検診の実施率の向上に伴って,このような好ましい現象がますます増加するものと想定される。すなわち,完全に治りうる子宮癌がどんどん増えるであろうということである。
 検診の普及は,頸癌にも増して前癌病変である異形成を多く発見することになり,それとともに患者は若年層に広がって行くことが予想される。すなわち,挙児年齢にある婦人が多くを占めることとなる。このような場合,完全治癒可能な早期癌や異形成では"妊孕性の温存"が大きな期待を抱かせる問題となろう。一方,挙児年齢を過ぎた婦人においても,子宮を残せるものであれば,そうしたいと希望する人達が年々増加している。われわれの外来にこれを希望して来院した女性の最高齢者は74歳であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら