icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科42巻3号

1988年03月発行

文献概要

症例

出生前に診断された結合体の1例

著者: 町田雅子1 増崎英明1 山辺徹1 吉永宗義2

所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科学教室 2長崎大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.289 - P.293

文献購入ページに移動
 結合体は一卵性双胎胚子の分離不全によって生じるが,その頻度はおよそ50,000例の出生に1例といわれる。従来は分娩時に初めて診断され,母子共に危険にさらされることが多かった。しかし,超音波断層法が汎用されるようになって,最近では,出生前に診断されたとの報告は少なくない。また,かつては出生前には困難であった臓器の検索も可能となってきた。このため,出生後の分離術に関しても,出生前から検討されつつある。初めての結合体分離術は結合部を結紮するだけの簡単なものであった。最近では超音波断層法,CTスキャンなどを用いて,新生児の検索がより詳細に可能となったため,分離術の様相も大きく変化している。その際,最も問題とされるのは,心の融合状態とされる。私どもは,妊娠中に本症と診断された症例を経験したが,この例では心の融合および肺の低形成を認めたため,分離術は不可能と判断された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?