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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科42巻4号

1988年04月発行

指標

Epidermal Growth Factor (EGF)と生殖生理

著者: 堤治1 水野正彦1 岡孝己2

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室 2米国NIH分子細胞生物学研究室

ページ範囲:P.303 - P.311

文献概要

 個体が維持されるために,生体内では絶えず無数の細胞が統制のとれた増殖分化を繰り返している。科学技術の進歩に伴い,多くの細胞が試験管内で培養維持可能となり,医科学の発展に役立っている。培養系列の研究から細胞の増殖や分化を制御する物質,すなわち細胞増殖因子の存在が明らかとなった。折りから隆盛となった分子生物学の力も得て,試験管内での細胞の増殖分化の仕組みの研究は飛躍的進歩を遂げた。しかしながら,細胞増殖因子の生体内作用については未知の研究領域として取り残されている観があった。
 生殖現象においても,両配偶子の増殖や成熟に代表されるように,一定の方向性をもち巧妙にプログラムされた細胞の増殖分化が行われている。この生殖現象に何らかの細胞増殖因子が関与していることは容易に想像される。もしそれが明らかになれば,生殖生理の仕組みの理解が進むばかりでなく,未知の病態の解明等,臨床面での大きな展開も期待できる。最近,細胞増殖因子の中でも特に強力な作用をもつepidermal growth factor (EGF)が生殖現象の種々相において重要な働きをしているという知見が得られたので,EGF研究のあゆみの概説とともに以下に報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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