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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科42巻6号

1988年06月発行

雑誌目次

特集 Endoscopic Surgery

子宮鏡下手術

著者: 小島栄吉 ,   大高究 ,   油田啓一 ,   百瀬和夫

ページ範囲:P.519 - P.526

 子宮鏡法とは,子宮腔内の異常を直視下に診断する方法であり,必要に応じて異常部分の生検や手術操作を行うものである。子宮腔は頸管,腟を経て体外に開口しており,しかもほぼ直接的な位置関係にあり,これを直視下に観察しようとする試みは古くから行われてきた。しかしながら子宮腔は狭く,厚い筋層に囲まれていて拡張がしにくい上,内膜は軽い接触により出血し視野の妨げとなり,内視鏡検査の容易な臓器とは言い難い。したがって子宮鏡下での手術操作には限度があり,内腔の拡張と,術中出血のコントロールが手術の成否を決定すると言っても過言ではない1)
 本稿では,筆者らの経験をまじえ,現在行われている子宮鏡下手術について概説する。

腹腔鏡下手術法とその問題点

著者: 岩田嘉行 ,   林保良 ,   宮本尚彦 ,   関賢一 ,   林茂

ページ範囲:P.527 - P.532

 腹腔鏡の歴史をたどると産婦人科領域のみならず他科においても検査法の一つとして開発され,今日でも特異でかつ貴重な診断法であることに変わりはない。しかし,エレクトロニクスやRI,モノクローナル抗体など最近の診断技術の進歩は腹腔鏡の診断手段としての利用頻度を相対的に低下させ,手術手段としての腹腔鏡が注目されるようになってきた。事実,産婦人科領域での腹腔鏡は不妊手術法の確立と体外受精の成功という2つの手術的成果を契機として発展しており,最近では多種類の手術が行われている。
 しかし,腹腔鏡下の手術には利点ばかりでなく問題点の存在することも事実である。本稿では現在行われている各種の腹腔鏡下手術を自験例を含め紹介し,その問題点に考察を加え,対応策としての電子腹腔鏡にもふれる。

Endoscopic Biopsy

著者: 高見沢裕吉 ,   松本玲子

ページ範囲:P.533 - P.535

 婦人科で行われる内視鏡は,ラパロスコープ,クルドスコープ,ヒステロスコープの3種類である。機器の改良とともに診断の手段として,治療の手段として広く用いられるようになってきた。しかし,対象臓器である内性器は,生命維持に無関係のため,悪性疾患が疑われる時には開腹手術がfirst choiceとなり,内視鏡施行の対象となるのは良性疾患が主である。また,内視鏡の適応は広いものの,内視鏡下における生検の意義,対象は限られており,日常診療においてルーチン検査の1つにはなかなか組み込まれない現状である。しかし,診断に迷う症例,治療方針決定に対しては内視鏡下の生検は侵襲も少なく,また治療の一環となることも多く有用である。
 今回は,婦人科で行われている内視鏡下の生検について,使用機器別に,適応,診断等について述べてみたい。

婦人科領域におけるLaser Endoscopy

著者: 蔵本博行 ,   脇田邦夫

ページ範囲:P.537 - P.542

 近年,医療機器の進歩には著しいものがある。このうち,内視鏡は侵襲が少なく,かつ,価値の高い診断法として頻用されてきた。この診断用機器に,現代のhigh technologyの一つであるレーザーを組み合わせたのがLaser endoscopy (レーザー内視鏡)である。
 本稿では腹腔鏡,子宮鏡,およびコルポスコープにレーザーを組み合わせた治療を中心に,内外の報告,さらには自験例をあわせ紹介したい。

Overview

Gynecologic Endoscopy—最近の機器

著者: 杉本修 ,   福田吉彦

ページ範囲:P.513 - P.518

 産婦人科領域における内視鏡診は,その目的となる臓器すなわち子宮,卵巣,卵管の外表を観察するかあるいは内腔を観察するかによりapproachの仕方が異なり,外表を観察するものとして腹腔鏡とクルドスコピーが,内腔を観察するものとして子宮鏡,卵管鏡,羊水鏡,胎児鏡が臨床応用されている。現在の内視鏡は,肉眼で直視しえない部位を観察し診断に利用したいという診断学的な目的から,光学機器,手術機器,麻酔法,消毒法の進歩などにより治療目的として行うsurgical endoscopyへと進歩している。今回,各種産婦人科内視鏡につき,過去から現在までの発達ならびに将来展望について概観したい。

グラフ 乳房診断【最終回】

Ⅵ.サーモグラフィー(コンタクトサーモグラフィー)

著者: 冨永健

ページ範囲:P.500 - P.502

 乳癌病巣は代謝の亢進,血流量の増加により高温を呈し,乳房表面へ伝播した熱的所見をサーモグラフィー装置で検出することにより,乳癌の8割以上のひろいあげが可能である。サーモグラフィーには非接触型の赤外線サーモグラフィーと温度に応じて色調が変化する液晶を利用した接触型サーモグラフィーがあるが,後者は取り扱いが簡便で外来での使用も可能である。乳癌の一部には高温を示さないものがあり,また良性疾患にも所見が認められるものもあるが,疑陽性所見には冷風送風による寒冷負荷試験(dynamic test)が有効である。放射線を用いない安全な補助診断法として手軽に利用できる。
(症例提供 慶大外科,足利日赤外科 コンタクトサーモグラフィー装置"テルマンマ")

指標

視床下部の脳内移植と排卵誘発

著者: 松本明

ページ範囲:P.503 - P.512

 若齢のラットやマウスでは4〜5日に1回,ヒトでは約28日に1回排卵するという周期性がみられ,これは下垂体前葉からの生殖腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の周期的な分泌に基づいている。一方,老化に伴ってゴナドトロピンの分泌機能は低下し,無排卵となり,生殖機能は衰退する1)。ラットなどの齧歯類では視束前野や前視床下部がゴナドトロピンの周期的な分泌に重要な役割を果たす一方,弓状核などを含む内側底部視床下部はゴナドトロピンの持続的分泌を調節する神経機構であるというように,ゴナドトロピンの分泌調節は脳の支配を受けている2)。ゴナドトロピン分泌調節の神経機構の最終的な情報は神経分泌ニューロンの産生する黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)として,下垂体門脈系を経て下垂体前葉のゴナドトロピン産生細胞に伝えられる。LHRH産生ニューロンは視束前野,視床下部,大脳辺縁系や脳幹と直接あるいは間接的に神経連絡し,複雑な神経回路を構成している。LHRHニューロンの分泌活動は,それらの促進的または抑制的な神経性情報のみならず,性ホルモンのフィードバックによる液性情報によっても調節されている。先に述べたように,加齢に伴ってゴナドトロピンの分泌機能は低下し,生殖活動は衰退する。ゴナドトロピンの分泌調節は脳の性中枢の支配下にあるので,老化に伴う性中枢の神経機能の低下がゴナドトロピン分泌パターンの変調に反映しているものと思われる。ゴナドトロピン分泌調節を駆動する神経機構において,加齢に伴う神経回路の変化,神経伝達物質の代謝の変化,LHRHなどのニューロペプチドの代謝の変化,性ホルモンのレセプター量の変化等いろいろな変化が複雑に影響しあって性中枢の神経機能が減退してゆくものと考えられる。ラットの内側底部視床下部を構成する神経核の1つで,ゴナドトロピン分泌調節の統御機能に重要な役割を果たしている弓状核の老化に伴う形態学的変化,ニューロンの可塑性や弓状核を含む視床下部の脳内移植の研究を中心に,老化に伴う排卵やゴナドトロピン分泌に関与する神経内分泌調節機能の変調のメカニズムやそれを制御するメカニズムを考えてみたい。

生涯研修セミナー 不妊症

排卵障害への対応

著者: 岡村均 ,   松浦講平

ページ範囲:P.547 - P.551

 不妊症の観点から,その原因としての排卵障害を解釈してみると,卵巣内に原始卵胞が存在するにも拘わらず卵胞の発育が起こらず成熟卵胞が得られない場合,原始卵胞が排卵前卵胞まで成熟しても下垂体からtimelyなmidcycle LH surgeが起こらないために排卵が誘起されない場合,さらにLH surge後に卵胞の破裂が誘起されない(luteinized unruptured follicle,LUF)かあるいは卵胞頂部の破裂が起こっても卵胞壁からの卵丘遊離・卵放出が起こらない(ovum retention syndrome)場合1)に分けて考える必要があろう。また黄体機能不全も広義の排卵障害と考えるべきであろう。その対応としては,少なくとも男性不妊因子と卵管子宮性不妊因子を検討した上で,血中尿中の各種ホルモン測定とともに超音波断層法や腹腔鏡を用いて各病態に対する充分な検索を行った上でその原因に対応した治療を行えばよい。

卵管異常の診断と対策

著者: 長田尚夫 ,   山田祐士 ,   赤嶺和成 ,   津端捷夫 ,   高木繁夫

ページ範囲:P.552 - P.557

 近年,内視鏡や超音波断層診断装置など新しい診療機器の臨床応用によって子宮,卵管ならびに卵巣を取り巻く器質性不妊の正確な診断が可能となった。一方,不妊治療にも手術用顕微鏡下に卵管の疎通性や骨盤内の癒着を剥離し,その妊孕性の回復を計るマイクロサージェリー(MS)による卵管形成術や体外受精による胚移植法(IVF & ET),受精卵の卵管内移植(GIFT)法が開発されたことによって不妊症治療の考え方にも大きな変革がみられる。この卵管性不妊の初期診断には,一般に通気,通水,子宮卵管造影法(HSG)などの卵管疎通検査が用いられているが,しかし,その診断にはFalse positiveの症例も多く存在することが指摘され,その最終診断には慎重さが求められる1)。一般的な卵管の疎通検査法については,既に成書をはじめ多くの雑誌でしばしば述べられているので,ここでは我々が行っている卵管異常の診断とその対策を中心に紹介する。

男性不妊因子の評価とその対応

著者: 相良祐輔 ,   山中恵 ,   岡谷裕二

ページ範囲:P.558 - P.562

 男性不妊の原因は多岐にわたり,しかもその多くは病因を明確にしえない特発性男性不妊が大部分を占めており,実地臨床上苦慮する疾患の一つである。しかしながら,近年体外授精を機会に男性因子をめぐる研究はめざましく,その病態も次第に明らかにされつつある。すなわち従来精子数,運動率,奇型率などに限られていた精液検査についても精子運動形態の詳細な解析や精子の授精能を考慮した精子機能検査法や抗精子抗体などの免疫学的なアプローチもなされており,新しい病態解明がなされつつある。治療の面では外科的治療として造精機能障害と関連をもつ精索静脈瘤やマイクロサージェリーの進歩に伴う精管吻合術など新しい治療法が確立しつつあるが,新しい病態知見に対応したものは現在なお少ない。薬物的にはホルモン療法と非ホルモン療法に大別されるが,これら薬剤の選択のための規準は未だ確立しているとは言い難く,今後ある程度の病態の解明をまって,これら薬剤の選択のための個別的規準が設定されるものと考えられる。人工授精については妊娠率の向上のための対策として,採取精液の性状改善のためにいくつかの方法が考案され臨床応用化への検討がなされつつある。さらに男性因子についての体外授精・胚移植(IVF-ET)の適応規準は未だ明確ではないが,今後詳細な適応規準が確立され実施されるものと考えられる。

不妊と免疫

著者: 苛原稔 ,   森一正 ,   大頭敏文 ,   鎌田正晴 ,   青野敏博

ページ範囲:P.563 - P.564

 配偶子の発育に始まり,排卵,受精,着床という一連の妊娠成立の過程で,多くの抗原が重要な役割を担っていると考えられる。そしてこれらの抗原の生殖生理上の働きを阻害するような免疫的異常(多くの場合,有害抗体)のために,不妊になる機序が考えられている。

不妊と子宮内膜症

著者: 早田隆

ページ範囲:P.565 - P.567

 子宮内膜症は,生殖年齢層婦人に好発し不妊症を伴うことが多く,現在不妊症の原因疾患として最も注目を集めているものの一つである。本症は,月経困難症や性交痛などの耐え難い苦痛を主症状とし,異所内膜の増生は,骨盤内諸臓器漿膜面に進展し広範囲の強固な癒着を生じ,妊孕能低下を招来する。また,本症は日常外来診療で新来患者の約3%,入院婦人科開腹術患者の約20%を占め,意外に多い。

不妊とSTD

著者: 淵勲

ページ範囲:P.568 - P.570

 卵管不妊の要因となるPID (pelvic inflammatory disease)はNeisseria gonorrhoeae (N-gonorrhoeae)によるものが多いということは以前より知られた事実である。近年はChlamydia trachomatis(C-trachomatis)が流行し,王座を奪う趨勢にある1)(表1)。Wasserheit2),Paavonen3)らはSalpingitis.PIDを詳細に調べ,卵管不妊との関係を述べており,またHawes4),Kosseim5),らはC-tra—chomatisの血清学的検索を行い,PID—卵管不妊にC-trachomatisが強く関与していることを報告している(表2)。
 STD病原微生物が生殖系に上行感染し,Salpingitis,PIDへと波及する。卵管の狭窄や運動不良によって卵の輸送を妨げ,受精障害を起こし,また卵管周囲炎により卵管采の閉塞を来す。

不妊とスポーツ

著者: 臼杵悊

ページ範囲:P.571 - P.573

 近年,女性のスポーツ人口の急増に伴いハードなトレーニングを積むスポーツでの性機能への障害が注目されている。不妊症と性機能は密接な関係を有し,したがってハードなスポーツトレーニングで性機能の障害が起こるとすれば健康を目的とするスポーツで不妊症を発症せしめる可能性を生じてくる。

Overview

不妊症研究の最近の動向

著者: 鈴木秋悦 ,   北井啓勝

ページ範囲:P.543 - P.546

 不妊症の最近の動向:EdwardsおよびSteptoeによる第1例の体外受精児誕生以来,本年で満10年となる。この間に精子と卵子に関する手技は飛躍的に進歩し,卵および胚の凍結保存,配偶子卵管内移植(GIFT法),体外受精卵卵管内移植(IVF-ETR)などが実用化されている。またLHRH,FSH,ゲストリノンなどのホルモン製剤が開発され,超音波断層装置,LHなどの簡易測定キットなどの検査が次々に導入されている。今回はこのような新しい研究および技術を紹介し,現時点での有効性,安全性の検討を加えたい。

トピックス

喫煙婦人に不妊症が多い

著者: 広井正彦

ページ範囲:P.557 - P.557

 喫煙が生殖に及ぼす悪影響について今日まで多くの報告があるにも拘らず,わが国では女性の間で喫煙の習慣は増加しつつあるという。
 喫煙婦人に不妊症が多いとの報告もあるが原因の詳細な報告はない。そこでPhippsら2)は多研究施設で対照例を含めた研究を行った。すなわち,1981年より1983年まで7カ所の不妊センターで不妊症の夫婦,1,880例を対象とし,コントロールにしてはこの期間に入院して生児を得た不妊歴のない夫婦で,とくに人種や年齢を考慮して不妊症患者の2倍をとった。

臨床メモ

帝王切開術後の感染は手術手技の改善により減少させうる

著者: 貝原学

ページ範囲:P.567 - P.567

 帝王切開術後の感染は予防的な抗生剤投与を行っても発生することがあり1),産科臨床上大きな問題となっている。術後の感染の発生は手術手技によって大きく左右されることが予想されるが,この点を検索した報告は極めて少ない。
 LyonとRichardson2)は帝王切開術の手術手技の改善が術後の感染の発生を明らかに減少させることを,635例の帝切例の検索から明らかにしている。

原著

内膜症不妊における腹水中マクロファージの意義

著者: 鮫島哲郎 ,   増崎英明 ,   石丸忠之 ,   山辺徹

ページ範囲:P.575 - P.578

 外性子宮内膜症(内膜症)の不妊原因については,なお不明な点が少なくない。内膜症では腹水中マクロファージ(Mφ)が増加し,精子や卵子あるいは受精卵を捕食するために不妊になるともいわれている。そこで,内膜症の腹水Mφ中の捕食能について,flow cytometric assayを用いて検討した。まず腹腔鏡施行時に採取された腹水中から,Ficoll-HypaqueによりMφを分離する。in vitroで螢光粒子(ビーズ)を捕食させflow cytometryで分析すると,粒子を捕食したMφの割合および1個のMφが捕食した粒子の数を定量的に分析することが可能であった。内膜症以外の例の腹水中Mφを対照として検討したところ,その捕食能は内膜症のMφに比べて低下していることがうかがわれた。本法により,腹水中Mφの捕食能を定量的に評価でき,腹水中Mφが内膜症不妊原因の一因ではないかと考える。

妊娠糖尿病診断基準と当センターでの管理について

著者: 有澤正義 ,   今井史郎 ,   末原則幸 ,   竹村喬 ,   藤田富雄 ,   和田芳直 ,   木戸口公一 ,   林昭

ページ範囲:P.579 - P.582

 日本産婦人科学会栄養代謝委員会より,妊娠糖尿病(以下GDMと略す)の診断基準の暫定案が報告されているが,日本糖尿病学会からは妊娠中の境界型は糖尿病として取り扱うと示されている。しかし,これらの2つの診断基準は異なり,特に60分値と120分値の間には差がある。この差の中には境界型であるがまったくGDMのどの点も満たさない一群(以下GDM−0と略す)と,境界型でGDMの1点のみを満たす一群(以下GDM−1と略す)がある。当センター開院以来6年間に妊娠16〜36週の間に75g OGTT施行例は371例あり,このうち正常型は167例,GDM−0は136例,GDM−1は36例,GDMは32例あった。GDMだけでなくGDM−0,GDM−1にも妊婦合併症や新生児のheavy for datesの合併も高率に認められた。これらについては通常の食事指導だけでは防ぎ得ないものもあり,今後これらのものについてはさらにきびしい食事療法の実施やインスリン療法の導入も必要であろうと考えられた。

症例

Gabexate mesilate (FOY)が奏効したDIC合併,常位胎盤早期剥離の1例—とくにキニンカリクレインに関連して

著者: 曽我賢次 ,   真木正博

ページ範囲:P.583 - P.588

 ブラジキニンは薬理作用として血管透過性亢進作用や末梢血管拡張作用などがあり,ショック助長因子として働く。ブラジキニンは血漿カリクレインが高分子キニノゲンに作用したり,腺性カリクレインが高分子キニノゲンまたは低分子キニノゲンに作用することで生ずる。
 今回,常位胎盤早期剥離を基礎疾患としたDICについて,キニン系の変動を検索したところ,発症時にキニン系の亢進をみとめ,キニン系の阻害薬でもあるGabexate mesilateで救命効果を認めたので報告する。

Signet ring cellを伴った卵管癌の1例

著者: 楠山洋司 ,   吉田恵 ,   細道太郎

ページ範囲:P.589 - P.590

 Signet ring cellを伴った原発性卵管癌の1例を報告する。46歳女性が下腹部膨満感にて来院。内診にて鵞卵大の左付属器腫瘍を触知した。術前子宮頸部および内膜細胞診は陰性であった。両付属器摘出術を施行し,7cm大の左卵管腫瘍を認めた。組織学的に低分化型の腺癌で,多数のsignet ring cellを伴っており,signet ring cellは,粘液染色に陰性であった。術後3年で,再発のため死亡した。卵管癌におけるsignet ring cellにつき,考察を行った。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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