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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻1号

1989年01月発行

文献概要

特集 Fetal behavior Overview

胎児行動の意義とその評価

著者: 前田一雄1

所属機関: 1鳥取大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.21 - P.24

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 胎児行動(fetal behavior)には広義と狭義があると思う。広義には妊娠初期胎児のごく単純な動きからはじまる。狭義には胎児神経系発育ののちの,統御,制御のある胎動に限る。ただし,これは非常に観念的なわけ方であって,具体的な証明にはさらに多くの年月が必要であろう。したがって本稿ではそのすべてを含んで述べることにする。胎児行動検出法にもいろいろある。筆者の超音波胎動計では羊水中で一定の速度範囲の動きがあればスパイクとして記録する。このとき母体の呼吸や胎動,あるいは胎児心拍数はこの速度範囲から除かれる。客観的連続的胎動検出には圧電素子によるもの,電磁波によっているもの,外測陣痛計もある。体表面での検出よりも,超音波によって胎動を直接検出する方が高感度である。胎児の動きに意味をもたせ,解釈しようとすると,超音波モード電子スキャンによるのが普通である。またこのときはマルチチャネルを必要とし,VTR記録を反復再生して観察し判定する。
 また,胎児行動判定の基礎として新生児行動の分類や行動の状況が参考にされることが多い。胎児はその神経性発育過程の表現として行動を示すという考えが多い。したがってその目標として新生児胎動があり,さらに胎児行動は新生児の行動をめざして準備をすすめているという考えもある。そのような場合もあるであろうし,また一方では胎児の生存状態には独自の生理学的環境があるのであるから,すべてを新生児の行動から判定し新生児行動と同じ名称を与えるのは検討を要する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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