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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻1号

1989年01月発行

文献概要

特集 Fetal behavior

中枢機能の成熟と胎児行動

著者: 上妻志郎1 岡井崇1 水野正彦1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.35 - P.38

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 中枢神経系はあらゆる生命現象を統合する機能を有することから,個々の器管系が本来の機能を発揮するにはそれぞれに対応する中枢神経機能の発達が必要である。行動に関してももちろん例外ではなく,肉眼的に観察しうる運動のほとんどすべてが中枢神経系の統御を受けている。特に胎児期は母体・胎盤により栄養補給や排泄が行われ,子宮内という閉ざされた環境の中で外的な刺激も最小限に押さえられた状態であるため,胎児の行動は生命維持のためのものではなく出生後の行動に対する準備運動であり,中枢神経機能が各種要因から修飾を受けずに表現されたものであると考えられる。
 大脳および小脳機能は出生後に著しく発達することが知られているが,新生児は出生時から既に独立して生存するための基本的な機能を獲得しているため,胎児期においても中枢神経機能は相当な発達を遂げていることが推察される。近年,超音波新層法の発達に伴い生理的な胎児の行動を観察できるようになり,呼吸様運動をはじめとする各種運動が妊娠経過と共に変化することが知られるようになった。この変化は胎児期における中枢神経機能の発達と密接に関連するものと推察される。本稿では当教室において超音波断層法を用いて観察した胎児行動について,中枢神経機能の発達という観点から概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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