臨床婦人科産科43巻1号

1989年01月発行

薬の臨床

卵管間質部妊娠，子宮頸管妊娠，および卵巣妊娠に対するMethotrexate　（MTX）療法施行症例における臨床経過

著者： 田中俊誠¹ 藤本征一郎¹ 工藤正尊¹ 平畠功二¹ 西谷雅史¹ 相原稔彦¹ 中陳欣也¹ 大久保仁¹ 有賀敏¹ 守谷修而¹ 岩崎寛治¹

所属機関： ¹北海道大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲：P.87 - P.95

　昭和54年7月より昭和63年7月までに北大産婦人科ならびにその関連病院において，子宮間質部妊娠；3例，子宮頸管妊娠；5例，および卵巣妊娠；1例の計9例にmethotrexate　（MTX）療法が施行された。
　MTX療法中の副作用，MTX療法前後の尿中hCGの変動，MTXの総量，およびMTX療法後の妊娠，などについて検討した。
　現在までに，子宮間質部妊娠症例，子宮頸管妊娠症例において，それぞれ2例（2生児），3例（4生児）にMTX療法後に妊娠が成立している。子宮間質部妊娠1例においてのみ軽度の肝機能障碍が認められた。従って，MTX療法は卵管狭部や卵管膨大部に着床する卵管妊娠以外に対する子宮外妊娠に対しても有効であることが確認された。