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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻10号

1989年10月発行

文献概要

グラフ 目で見る解剖—性器系の血管構築

4.男性性器

著者: 田中啓幹1

所属機関: 1川崎医科大学泌尿器科学教室

ページ範囲:P.918 - P.920

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 真正胎盤を持つ哺乳類Eutheriaの精巣は,精子形成のためには体腔外,すなわち陰嚢内に下降して体温より低い温度環境に存在する必要がある。そのためには,陰嚢のラヂエーターとしての冷却機構の他に,血管系にも特徴的な構築がみられる。主動脈は被膜内外でコイル状となり,実質に貫通する前に求心性と遠心性分枝に分かれて主流の後者は精巣を取り巻き,白膜を走行するとき扁平化し,精細管間隙や精細管周囲の毛細血管は縄梯子状となって密に結合している。精巣内の静脈は白膜に向かう遠心性静脈と精巣網に向かう求心性静脈があり,前者は鞘膜の静脈に,後者は隔膜を通って精巣網で静脈叢を形成する。精巣を出るとお互いに吻合して静脈叢,すなわち蔓状静脈叢を形成して精索部動脈を包み込んで動脈血の冷却に与っている。
 陰茎は高度に血管に富んだ臓器で,しかも勃起という大切な機能を持っているにもかかわらず,その機序については長い間ベールに包まれていた。最近になって,陰茎のペプタイド神経支配と血管構築の研究が進展し,ヒトの血管構築についても解明されてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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