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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻10号

1989年10月発行

特集 高感度ホルモン測定法と臨床応用

インヒビンと排卵機構

著者: 長谷川喜久1 五十嵐正雄1

所属機関: 1群馬大学医学部産科婦人科教室

ページ範囲:P.953 - P.961

文献概要

 人の月経周期や他の哺乳動物の性周期に繰り返し起こる排卵は主にFSHとLHによって調節されている。性成熟に達するまでに一定数にまで選別された卵胞が一周期中に成熟し排卵へと至る1)。その排卵数は種により異なるが,その種に固有の排卵数が運命付けられている。このような卵胞の成熟と排卵数の調節機構の解明は生殖生理学の大きな目標であり,多くの研究者により試みられているにもかかわらずまだ不明の点が多い2)
 視床下部—下垂体—性腺系のホルモンの分泌機序とその動態を精査することによりゴナドトロピンの分泌,特にLHRH-LH—性ホルモンのフィードパックシステムの多くが明らかにされた3,4)。しかしながら卵胞の成熟に最も深くかかわるFSHの分泌の調節システムの解明は困難を極めた5)。FSHの分泌はLHのそれとは異なるパターンを示し,またその調節因子がLHのそれと異なっていた。FSHの分泌を調節する因子として視床下部中のFSH-RFの存在が考えられているが,まだその正体は確かめられていない。一方,性腺中に存在し性ホルモンとともにFSHの分泌調節する蛋白性の因子が明らかにされた。それがインヒビンである。性腺から分泌されるインヒビンは,時にはエストラジオール(E2),時にはプロジェステロン(P4)の分泌と重なるため,インヒビン本来の役割が性ホルモンの役割に置き換えられていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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