icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻10号

1989年10月発行

文献概要

症例

高血圧合併慢性腎炎患者の1妊娠症例—少量アスピリン療法の試み

著者: 山崎一郎12 高桑好一1 長谷川功1 立川千恵子2 吉沢浩志2 佐藤芳昭2 金沢浩二2 竹内正七2 追手巍2 清水不二雄2 斎藤隆生3 成田一衛3 吉田和清3 荒川正昭3

所属機関: 1新潟大学医学部産婦人科学教室 2新潟大学腎臓研究施設免疫病態学部門 3新潟大学医学部第二内科

ページ範囲:P.1003 - P.1006

文献購入ページに移動
 高血圧を合併した慢性腎炎患者(Ccr 50-70 ml/min)の高年初産例を経験したので報告した。妊娠中毒症発症の確率が高いと予測され,その発症予防の試みとして降圧剤とともにaspirinを妊娠15週から服用させた。血中のthromboxane B2/6—keto-PGFlα比の変動を観察したところ,aspirin服用前の2.42から服用後2週で2.07,服用後10週には0.83と6—keto-PGFlαが優位となった。母体は妊娠中毒症になり妊娠33週に胎児仮死のため帝王切開術を施行したが,分娩後腎炎の著しい増悪もなかった。胎児はAFDの下限で奇形もなく,胎盤の病理所見もほぼ正常だった。
 以上より,aspirin投与が,血小板由来のthromboxane A 2産生を血管由来のprostacyclin産生に比べ有意に抑制することにより,胎盤での梗塞とそれに起因するIUGRを予防した可能性が考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?