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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻11号

1989年11月発行

文献概要

特集 胎盤 Overview

胎盤の生物学

著者: 望月眞人1

所属機関: 1神戸大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.1029 - P.1036

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 胎盤は胚子組織と母体組織の複合体である。胚組織部分を胎児性胎盤,母体組織部分を母性胎盤と呼ぶが,母性胎盤は脱落膜が主体となる。胎盤形成は本質的にallograftとみなすことができるが,免疫機構の極めて発達した動物において,胚‐母体組織の相互関係の最も複雑に分化した血絨毛胎盤が形成されることはアロゲネイック相互作用を可能にするための非常に複雑で巧妙な機構が必要とされる。
 胎盤の基本的機能は妊娠の維持と胎児発育という大きな生物学的作用であるが,胎児を保護する選択的免疫学的バリアーとしての機能も併せもつ。一般に妊娠期間が長くなるにつれ,これらの胎盤機能はより複雑となり,胎児‐胎盤‐母体系あるいは胎児‐母体コミュニケイションシステムにおいて,独立した臓器として独自の様式をもって多様な物質を産生・代謝するようになる。胎盤は多彩なホルモン様活性物質を産生・放出し,しかもステロイドと蛋白ペプチドホルモンの両者を同一細胞で生合成するきわめてユニークな内分泌臓器でもある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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