文献詳細
特集 胎盤
胎盤の代謝—胎盤アミノペプチダーゼ(AP)によるペプチドホルモン代謝
著者: 水谷栄彦1
所属機関: 1名古屋大学医学部産科婦人科教室
ページ範囲:P.1045 - P.1054
文献概要
一方,胎児胎盤系にはあらゆる種類のペプチドホルモンの存在が明らかにされつつある。胎児期の急速な発育と成熟のためにはそれらホルモンは必須のものと考えられる。事実強力な子宮収縮作用から陣痛発来物質のひとつとして考えられているオキシトシンにはインスリン様作用1),生体物質として最強力な昇圧物質であるアンジオテンシンにはプロラクチン分泌刺激作用2)など,従来私どもが考えていた(母体側)作用以外に,ペプチドホルモンには胎児にとって好都合な作用が数多く見出されつつある。しかしながら,胎児の成熟や胎児へのストレス3)によって胎児が産生するホルモンが著増すれば,母体側へ作用する可能性もある(妊娠はホルモン過剰症のrisk factor)。
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