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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻11号

1989年11月発行

特集 胎盤

胎盤の物質輸送

著者: 久間正幸1

所属機関: 1大和郡山総合病院産婦人科

ページ範囲:P.1071 - P.1077

文献概要

 胎盤のさまざまな機能の中で物質輸送は胎児の発育にとってきわめて重要な機能である。その物質輸送は母体より必要な栄養物を摂取し,胎児の産生した不要な物質を母体に排出するという母体,胎児両者への双方向的なものであり,物質交換といえる性質のものである。さらに,胎盤の物質交換のきわだった特徴は交換される物質の多種多様性にある。一個の個体の生命活動を維持するためのもののほとんどすべてが胎盤の一群のsyncytiotroph‐oblastとよばれる細胞を通じて交換される。この交換は当然ながらある種の制御下にあると考えられている。これがplacental barrier (胎盤関門)という概念に発展するが,このplacental barrierは不完全であり,あいまいであるため,胎児に不利益な物質でも胎盤を通過することがあり,胎児疾患,新生児疾患を惹起する。胎盤の物質輸送の研究は胎児の発育の制御に通じるのみならず,こういった疾患の病態を解明するためにも必要であろう。以下,基本となる栄養物質を中心として胎盤の物質輸送の形式とその意義について考察してみた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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