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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科43巻2号

1989年02月発行

グラフ 生殖生理と走査電顕

Ⅱ.精子の受精能獲得と先体反応

著者: 久保春海1 臼井彰1 片山進1

所属機関: 1東邦大学医学部第1産婦人科学教室

ページ範囲:P.112 - P.113

文献概要

 射精直後の精子は精漿中の受精能阻害物質(decapacitation fac—tor)のため受精能を獲得することが出来ない。精子が受精能力を獲得できるのは精子が精漿を離れ,雌性殖道内に入いるか,一定の条件(アルブミンetc)を有した培養液中で前培養する必要がある。この雌性殖道内あるいは培養液中に受精能を獲得するためにとどまる時間は種によって異なり,ヒトでは6〜7時間(Edwards et al,1969)といわれているが,体内でヒト精子の卵管上部への到達時間は15〜45分(Settlager et al.)であること,培養液中で先体反応(AR)の発生は培養開始後30分以内に20〜30%の培養精子に見られる(久保ほか)ことから,ヒト精子の受精能獲得時間はもっと短縮されているものと思われる。
 さらに,最近受精能獲得の推定法として比較的入手しやすいハムスターなどの実験動物の透明帯除去卵子を用い,これに検定しようとする他種の精子を媒精し,精子侵入の有無によって判定する方法が実用化されている(Yanagimachi et al.)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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